2025 年 3月 26日 (水)
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韓国・現代自動車グループ「4年間で米国に210億ドル投資」…「トランプ関税」の“効果”

24日、トランプ米大統領らが見守るなか、210億ドル規模の対米投資計画を発表する現代自動車グループのチョン・ウィソン(鄭義宣)会長(c)news1

韓国・現代自動車グループは今年から今後4年間で米国に210億ドルを投資し、年間120万台の現地生産体制を構築する。チョン・ウィソン(鄭義宣)会長が首都ワシントンのホワイトハウスで24日(現地時間)開かれた記者会見で、トランプ大統領らが出席する中、こうした戦略的な対米投資計画を発表した。

チョン・ウィソン会長は「現代自動車は1986年に米国市場に進出して以来、これまでに200億ドル以上を投資し、現在では米国50州全域で57万件以上の雇用を創出している。本日、今後4年間で210億ドルの新規投資を追加することを発表できることを嬉しく思う。これは、我々が米国に進出して以来最大規模の投資だ」と語った。

チョン・ウィソン会長によると、この投資の核心は、鉄鋼や部品から自動車に至るまで、米国国内のサプライチェーンを強化するために60億ドルを投資することという。特にルイジアナ州に新たな施設を設立し、米国国内に1300の雇用を創出する予定で、「安定的かつ自立した自動車供給網の基盤となる現代製鉄による数十億ドル規模の投資に大きな期待を寄せている」と述べた。

またチョン・ウィソン会長は「今週、ジョージア州に80億ドル規模の新工場(HMGMA=Hyundai Motor Group Metaplant America)を新たにオープンできたことを誇りに思う。これにより現代自動車グループの米国国内の年間自動車生産量は100万台を超えることになるだろう」と強調した。

◇部品・鉄鋼も現地化へ

現代自動車はこの日、報道資料を通じて、今回の投資を「自動車」「部品・物流・鉄鋼」「未来産業・エネルギー」の3つの分野に分けて進めると明らかにした。

自動車分野では、米国における年間120万台の現地生産体制構築のため、合計86億ドルを投資する。

現代自動車グループは、2004年に稼働を開始したアラバマ州の現代自動車工場(36万台)を手始めに、2010年には起亜のジョージア工場(34万台)、今年はHMGMA(30万台)を完工し、現在、米国で合計100万台規模の生産能力を確保している。

ジョージア州サバンナに建設されたHMGMAは、26日に竣工式が開かれる予定で、今後さらに20万台の増産により、総生産能力を50万台に拡大する方針だ。

アラバマ工場やジョージア工場など、既存の工場についても、高品質な新車を継続して生産できるように、生産設備の現代化や効率化などの補完投資が進められる。

部品・物流・鉄鋼分野では、完成車と部品会社間のサプライチェーン強化のため、現代自動車・起亜とともに進出した部品・物流・鉄鋼のグループ会社が総額61億ドルを投じる。

HMGMAの生産能力拡大に合わせて設備を増設し、部品の現地調達率を高め、バッテリーパックなど電気自動車の核心部品の現地調達も推進する。

併せて、米ルイジアナ州には年間270万トン規模の電炉式製鉄所を建設する予定だ。

これは低炭素自動車用鋼板に特化した製鉄所であり、高品質な自動車用鋼板を現地で供給することで、関税などの不確実な外部リスクに対する対応力を高める。また、堅実な鉄鋼需要を基盤とした安定した収益創出を通じて、鉄鋼分野の新たな成長動力を確保すると期待されている。

◇AI・自動運転・原子力まで網羅

未来産業・エネルギー分野では、63億ドルが投資される。自動運転、ロボット、AI、AAM(先進空中モビリティ)など未来の新技術に関して、米国の有力企業との協力を拡大し、現代自動車グループの米国現地法人である「Boston Dynamics」「Supernal」「Motional」の事業化を加速させる。

現代自動車グループは米国を代表する革新企業との戦略的パートナーシップを結び、相互の協業を広げている。エヌビディア(NVIDIA)とは、SDV(ソフトウェア中心の車両)やロボティクスなど核心モビリティソリューションの知能化、そして事業運営全般にわたるAI技術の適用を強化する多様なプロジェクトを推進しており、米自動運転企業「Waymo」とは、米国HMGMAで生産されたアイオニック5を活用して自動運転タクシーサービス「Waymo One」の拡大に取り組んでいる。

「Boston Dynamics」とその研究所「ロボティクス&AI研究所(RAI)」は、強化学習に基づいた知能化ロボットの開発のための能力を強化しており、「Supernal」は2028年のAAM機体の商用化を目指し、米国各州と無人航空機のテスト協力を進めている。米自動運転企業の子会社「Motional」も、自動運転データの収集、AIモデルの学習などを通じてレベル4以上の自動運転技術の高度化を図っている。

現代自動車グループは未来技術に関連する有望なスタートアップを発掘するための先制的な投資も進めている。

原子力や再生可能エネルギー分野への投資とともに、電気自動車の充電所拡充にも力を入れる。現代建設は「Holtec International」と提携し、今年末には米ミシガン州で小型モジュール原子炉(SMR)の着工を予定している。現代エンジニアリングは昨年、米テキサス州の太陽光発電事業権を取得し、2027年上半期の商業運転開始に向けて準備を加速させている。また、米国内の自動車企業との電気自動車超高速充電サービス連合「IONNA」を通じて、充電所の設置も拡大していく。

トランプ大統領はこの日、現代製鉄のルイジアナ製鉄所投資計画について「現代自動車が米国に建設する初めての製鉄所だ。近いうちにアラバマやジョージアで自動車部品や完成車工場に鉄鋼を供給することになるだろう」と歓迎した。さらに「現代自動車の投資は、関税が非常に強力に作用するということを示す明確な証拠だ。現代自動車は米国で生産して自動車を作ることになるため、関税を支払う必要がない。現代自動車は真の偉大な企業であり、非常に光栄だ」と語った。

(c)news1

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