
韓国・現代自動車グループが「鉄から車まで」を超え、次世代自動車時代を支える中核部品である車載半導体とバッテリーの分野にまで垂直統合を拡大している。完成車のバリューチェーンを自社内に取り込み、電動化・ソフトウェア化が進むモビリティ時代に迅速に対応する狙いだ。
同グループは現代モービス(Hyundai Mobis)を中心に、韓国内で車載半導体の国産生態系を構築する計画を進めている。2024年5%程度だった半導体の国産化率を2030年までに10%以上に引き上げる方針だ。
現代モービスは2020年、現代オートロンの半導体事業部を買収してこの分野に本格参入した。車載半導体の標準化と使用量拡大を進め、現代自動車は国産部品の採用比率を現在の5%から2倍に引き上げる計画を掲げている。
グループが半導体事業を強化する背景には、新型コロナ禍での「車載半導体不足」の苦い経験がある。当時、半導体供給の遅れにより現代自動車と起亜では約47万台分の生産支障が生じたと推定されている。
今後、車載半導体市場は年平均9%成長し、2030年には1380億ドル規模に達すると見込まれている。電気自動車やソフトウェア中心車(SDV)など、次世代車両では従来の内燃機関車に比べて6倍以上の半導体が搭載されるためだ。
一方、現代自動車グループはバッテリーの内製化にも踏み出した。大量生産ではなく、研究開発(R&D)とパイロット生産を中心とした自社生産を目指す。2032年までに9兆5000億ウォンを投資し、南陽・儀旺・麻北などに開発拠点を設置している。さらに2027年の稼働を目標に、京畿道安城にバッテリー研究団地と2GWh級の生産ラインを建設中だ。
業界関係者は「現代自動車グループはバッテリーの大規模生産よりも設計・技術力を高め、将来的にバッテリー企業との交渉で主導権を握ることを狙っている」と説明する。
これにより、同グループの垂直統合体制は一段と強化されそうだ。現代自動車グループは鉄鋼から部品、完成車、物流、金融サービスまで自社系列で一貫生産・運営する世界でも数少ない完成車メーカーだ。
業界では「垂直統合は供給網リスクを低減し、意思決定の迅速化と効率性を高める」と評価する声が多い。関係者は「現代自動車グループはこの体制によって市場への柔軟な対応力を高め、グローバル3位に浮上した。今後も電気自動車、バッテリー、半導体基盤の確立を通じて、未来モビリティ時代を主導していくだろう」と述べた。
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