「チョン・ウィソン(鄭義宣)会長が豊田章男会長に会うって? なんで?」
今年4月、グローバル完成車業界を代表するトップの非公開会合に世間の注目が集まった。熾烈な順位競争を繰り広げているトップ同士が会合をする?――関心が大きくならざるを得なかった。
その疑問は、半年が過ぎて開かれた両社の初のコラボイベント「現代N×TOYOTA GAZOO Racingフェスティバル」でようやく解消された。
あるイベント会場で、トヨタグループの豊田章男会長が、現代自動車グループのチョン・ウィソン会長にコラボを提案したのが、今回のフェスティバルの発端となった。
業界では、現代自動車ではなく、トヨタが先にこうした提案をしたという事実に驚いている。
わずか十数年前までは、韓国の完成車業界は日本を真似する“亜流”扱いを受けざるを得なかった。実際、チョン・モング(鄭夢九)名誉会長時代には、現代自動車グループの最大目標は「トヨタに追いつく」だった。
しかし、チョン・ウィソン会長が率いる現代自動車は、いつの間にかグローバル1位の座をめぐってトヨタと競争する「強力なライバル」に成長した。
現代自動車・起亜自動車は昨年、グローバル販売台数3位を記録したのに続き、今年上半期には361万5915台を販売し、トヨタグループ(516万2442台)、フォルクスワーゲングループ(434万8000台)との差を縮めている。
特に現代自動車は、エコカー市場ではグローバルTOP1企業と呼べるほど、強大な地位を構築した。
現代自動車グループの純電気自動車アイオニック5・アイオニック6・EV6・EV9などがグローバル市場で賛辞を受け、今年上半期の世界水素自動車市場では32.7%に達するシェアを確保して1位の座を逃さずにいる。
フェスティバルで豊田会長が「トヨタと現代が手を組んで、より良い車を、モビリティの未来を作るよう努力する」とコラボに言及したことも印象的だ。
いまや現代自動車は、共に成長できるほどの技術力と規模を持つ「大物」になった。それだけに、未来モビリティ市場を「共に」開拓しようという意味があるわけだ。
完成車分野で1位を争っている両社のコラボは、相乗効果、いやそれ以上の効果を出せるかもしれない。
内需市場を中心に、エコカー市場で急速に浮上している中国を効果的に牽制することも可能になる。ドイツのフォルクスワーゲンまで中国に押されて工場閉鎖、人員削減などを余儀なくされている状況で、現代自動車グループとトヨタの連合戦線が持つ意味は、それだけ格別だ。【MONEYTODAY イム・チャニョン記者】
(c)MONEYTODAY