韓国・務安国際空港で発生した済州航空機事故(昨年12月29日)を受け、同航空の親会社「愛敬グループ」に対する不買運動が広がっている。
済州航空は2005年に愛敬グループと済州特別自治道が共同で設立した航空会社で、愛敬グループの持株会社であるAKホールディングスが株式の50.37%を保有している。
AKホールディングスは、化学事業の「愛敬ケミカル」、生活用品・化粧品事業の「愛敬産業」、百貨店事業の「AKプラザ」を運営している。愛敬産業は化粧品ブランド「エイジトゥエンティーズ」や「ルナ」、生活用品ブランド「2080」「ケラシス」「トリオ」などを展開している。
流通業界関係者によると、事故以降、オンライン上で一部消費者が、愛敬グループの系列会社や、愛敬産業が販売する化粧品ブランドや生活用品ブランドのリストを共有し、不買を呼びかけている。
業界では、事故直後の初期対応のまずさが不買運動を加速させたとの指摘が出ている。事故当日、済州航空のキム・イベ代表は謝罪の意を表したものの、記者からの質問に答えず、謝罪文を読み上げた後に立ち去った。
匿名を条件に取材に応じたある流通業界関係者は「事故収拾の初期段階で、愛敬グループのチャン・ヨンシン会長が現場を訪問せず、書面による謝罪のみを発表したことが、最善を尽くしている印象を与えなかった」と指摘。「過去の大規模事故ではオーナー一族が直接現場を訪問して頭を下げ、対策を示した事例と比較されてしまう」と述べた。
◇南陽乳業とユニクロの先例
流通業界では、以前にも大規模な不買運動が起きた例がある。南陽乳業とユニクロがその代表的な事例だ。
南陽乳業は2013年に代理店への「パワハラ」問題が発覚し、不買運動の対象となった。その後、2021年には自社の発酵乳製品「ブルガリス」が新型コロナウイルスを抑制する効果があると主張し、不買運動が再燃した。
これにより業績は悪化した。不買運動前の2012年、売上高は1兆3650億ウォン(約1480億4200万円)、営業利益は637億ウォンを記録していたが、2022年には売上高9647億ウォン、営業損失868億ウォンとなり、赤字に転落した。同業の毎日乳業が2022年に売上高1兆6856億ウォン、営業利益606億ウォンを記録し、成長を続けているのとは対照的だった。
2022年3月には、南陽乳業のオーナーであるホン・ウォンシク前会長一族から株式を譲渡された投資会社「ハン&カンパニー」に経営が移行し、ブランドイメージの改善に注力している。
一方、ユニクロの場合、不買運動は比較的早く収束したとされている。
ユニクロは2019年、日本政府による半導体材料の輸出規制を契機に始まった「ノージャパン運動」の影響を受け、業績に大きな打撃を受けた。2018年9月から2019年8月までの売上高は1兆3781億ウォン、営業利益1994億ウォンだったが、2020会計年度には売上高が6298億ウォンと、対前年度比54.3%減となり、884億ウォンの営業赤字に転じた。
しかし、時間の経過とともに、さらに2022年のユン・ソンニョル(尹錫悦)政権発足後、日韓関係が改善されると業績は回復に向かった。ユニクロを運営するFRLコリアの2024会計年度の売上高は1兆601億ウォンで対前年度比15%増。同期間の営業利益も5.4%増加し、1489億ウォンに達した。
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