
韓国・務安国際空港で2024年12月29日に発生した済州航空機事故から1年が経過し、韓国国土交通省は事故の要因とされた鳥類衝突や空港設備の不備に対して対策を進めている。だが、その多くはまだ「実施段階」に留まっており、航空安全体制の実効性を問う声が上がっている。
航空機と鳥類の衝突を未然に防ぐため、韓国では「鳥類探知レーダー(Bird Detection Radar)」の導入が本格化。同装置は、視界が悪い夜間や悪天候でも、空港周辺の鳥の動きをリアルタイムで把握できる。
2025年下半期に務安空港で試験導入され、来年以降は仁川・金浦・済州空港への設置が進む予定。また、赤外線カメラによる夜間探知装置も、現在は4空港のみに導入されているが、全国拡大が検討されている。全国15空港における鳥類駆除要員も、2023年の145人から212人に増員された。
事故の拡大要因とされたローカライザー(進入誘導装置)の改修も進んでいる。従来のコンクリート・鉄構造から、衝撃に強い軽量鉄骨構造へと順次切り替えている。
全国7空港に設置された9施設のうち、浦項・光州・金海・泗川空港の4施設は改修済み。麗水空港は年末までに、済州・務安空港は2026年〜2027年にかけて改修予定とされている。
また、滑走路逸脱事故の対策として、「EMAS」の導入も議論されている。EMASは滑走路を逸脱した際に特殊素材で機体を停止させる安全装置で、国土交通省は設置基準の策定を進めている。
事故の背景とされた整備体制の不備にも対処している。事故履歴のある機種に関しては整備基準を強化。整備士の熟練基準も2年から3年に引き上げられた。済州航空における整備遅延率は前年同期比40%以上減少した。
さらに、安全監督官の人数も30人から43人に増員。2027年までに57人規模への拡充が計画されている。
ただ、現行の航空安全監視体制は、国土交通省傘下の地方航空庁や交通安全公団などに分散されており、「独立性が不十分」との指摘が根強い。
国際民間航空機関(ICAO)加盟36カ国のうち、32カ国は航空安全を監督する独立機関を設置しているのが実情だ。
カトリック関東大学のチョン・ユンシク教授は「独立機関の設置は必要不可欠。だが、そのためには人員配置や予算の調整といった政治的合意が前提条件となる」と述べた。
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