
Telegram(テレグラム)などの匿名性の高いSNS上で、法人名義を利用して大量に取得された携帯電話番号が、不正アカウントの作成や売買に組織的に使われている実態が明らかになった。格安SIMを活用することで低コストで番号を量産できるため、犯罪への悪用も懸念されている。
韓国の通信事情に詳しい複数の関係者によると、個人とは異なり、法人は多数の回線を契約できるという制度的特徴が悪用されている。法人による多回線契約は、設立から1年以上経過し一定の売り上げがある企業であれば、保証会社の審査を経て3回線以上の追加契約が可能だ。これにより、例えば10回線を契約すれば、最大で30個の電話番号を使い回せる。番号の変更も1回線あたり3回まで認められている。
こうして生成された番号は、Telegramなどを通じて各種SNSやメッセージアプリ(カカオトークやTelegramなど)のアカウントを作成し、それを売買する手段として使われている。格安SIMを使えば1番号あたりの月額維持費はわずか6000ウォン(約670円)程度とされ、事業化が容易だ。
あるTelegramチャンネル(参加者数約1万9000人)には、「法人名義で番号を大量生成、自社でSIM開通も可能」と記された販売業者の宣伝が投稿され、「カカオ、Telegram少量・大量いずれも歓迎、中国企業の連絡歓迎」と中国市場をターゲットとしたメッセージも見られた。
このような「番号付きアカウント」は、1件あたり数万〜数十万ウォンで売買されており、すでに一部は海外にも流通しているとされる。
実際、こうした不正アカウントは犯罪にも悪用されている。2023年にソウル・江南の大峙洞(テチドン)の学習塾街で発生した「麻薬入りジュース事件」では、学生の保護者への脅迫に「偽カカオトークアカウント」が使用された。このアカウントを供給した犯罪組織は、これにより22億ウォン以上の収益を得て、同年中に摘発された。この事件の共犯者の1人は、最近カンボジアで起きた韓国人大学生死亡事件の主犯としても指摘されている。
不正な電話番号の使用は年々深刻化しており、特に格安SIMを利用した「名義貸し携帯電話」の摘発件数が急増している。
国会・科学技術情報放送通信委員会の国政監査によると、2020年に8923件だった摘発件数は2024年には9万7399件と10倍以上に増加。このうち格安SIM関連の摘発は5339件から8万9927件と、約7倍に増加した。
こうした状況を受けて専門家からは、法人による携帯電話契約の条件を厳格化する必要があるとの声が上がっている。建国大学警察学科のイ・ウンヒョク教授は「法人名義で番号とアカウントが組織的に流通しているのは非常に深刻な問題だ。通信会社や格安SIM業者は利用者の利便性も重要だが、犯罪利用を防ぐ観点から、法人回線の開通要件を強化すべきだ」と指摘している。
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