2025 年 4月 8日 (火)
ホーム社会韓国・死者30人“最悪の山火事”…予報機能なき「山火事拡散予測システム」の限界が浮き彫りに

韓国・死者30人“最悪の山火事”…予報機能なき「山火事拡散予測システム」の限界が浮き彫りに

3月23日午後、暗闇に広がる大規模な山火事(c)news1

韓国慶尚北道義城で3月22日に発生した大規模な山火事は、わずか3日間で清松、英陽、盈徳へと急速に拡大し、死者30人、負傷者45人、計75人の死傷者を出す壊滅的な被害となった。背景には、最大瞬間風速が台風並み(秒速25m超)に達した強風があり、火勢を抑えることは困難だった。

ただ、山火事の進行方向や拡大時間を事前に予測できていれば、少なくとも人命被害は軽減できたのではないかという指摘が出ている。

森林庁は全国495カ所に山岳気象観測網を設置し、リアルタイムで気温・湿度・風速・風向・降水量などを1分単位で収集している。ただ、このネットワークには「予報」機能が存在しない。

つまり、現場の瞬間風速などは把握できても、今後の風の流れや速度の変化を事前に予測することは難しいのが実情だ。

さらに、気象庁が提供する山岳予報も平地中心の気象情報がベースであり、複雑な山岳地帯における詳細な予測には限界がある。そのため、山火事拡散予測システムの精度向上には地形に特化した予報モデルの開発が急務とされている。

森林庁国立森林科学院によると、2100年までに韓国の山火事リスクは最大158%上昇するとの予測が出ている。この予測は、全南大学や光州科学技術院と連携し、気候変動シナリオに基づく分析を通じて行われたものだ。

研究チームは、気温が1.5~2.0度上昇した場合、冬季の「山火事気象指数」が最も顕著に上昇し、春季の山火事発生時期が早まる可能性が高いと分析した。

実際、1981年から2024年までの韓国国内の山火事統計を分析した結果、年間の発生件数と発生日数が増加傾向にあり、山火事のリスクが年間を通して拡大していることが示された。

森林庁関係者は「効果的な山火事対応にはヘリコプターや林道の整備、間伐事業の推進と同時に、高度化された気象予測システムの導入が不可欠だ。早めに避難時間を確保できれば、人命被害を大幅に減らすことができる」と述べた。

(c)news1

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