2025 年 1月 31日 (金)
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韓国・機内バッテリー火災は年間5~6件…エアプサン旅客機火災で高まる「規制強化」の声

30日、エアプサン機の火災現場(c)news1

韓国の格安航空会社(LCC)エアプサンの旅客機火災で、主な原因として、機内手荷物に含まれていた補助バッテリー(モバイルバッテリー)が指摘されている。これを受け、持ち込み規定の強化を求める声が高まり、未認証の不良バッテリーに対する保安検査の強化や、機内持ち込み時の保管場所の指定などが議論されている。

業界関係者によると、エアプサンと搭乗者の証言から、火災は機体の後部で発生したとされる。荷物棚内で火が出たことから、機内手荷物内の特定の物体が発火源となった可能性が高い。短時間で強い煙と火花を発生させる手荷物として、リチウムイオンバッテリーが有力視されている。

リチウムイオンバッテリーは、電子機器の充電に便利なツールだが、製造過程での欠陥、使用者の不注意、気圧や温度の変化などによって発火のリスクがある。一度発火すると「熱暴走」現象を起こし、容易に消火できない特徴を持つ。

国土交通省の調査が進められているが、リチウムイオンバッテリーが火災の原因として有力である以上、今後、持ち込み規制の強化が必要だと専門家らは指摘する。

西江大学のイ・ドクハン名誉教授(化学・科学コミュニケーション)は「リチウムイオンバッテリーは用途によって品質が大きく異なる。スマートフォンやノートパソコンには高品質なバッテリーが使われるが、電子たばこやモバイルバッテリーには低品質の安価なバッテリーが使用される傾向がある」と指摘する。そのうえで「機内でリチウムイオンバッテリー火災が何度も発生している以上、持ち込みに関する規制を強化すべきだ」と強調した。

韓国交通大学航空運航科のイ・グニョン教授も「飛行中のリチウムイオンバッテリー火災は大事故につながる可能性がある。バッテリーが火災原因と判明すれば、持ち込み規定の強化を含む具体的な対策が必要だ」と述べた。

専門家らは、機内での火災リスクを減らすために、保安検査の強化と機内でのバッテリーの保管場所指定が必要だと提案する。

又石大学消防防災学科のコン・ハソン教授は「空港の保安検査時に、膨らんだバッテリーなど異常な形状のものは熱暴走の前兆である可能性があるため、厳しくチェックする必要がある」と指摘。「現在、空港では160Wh以下のバッテリーのみ機内持ち込みを許可しているが、容量が適切に確認されているか疑問が残る。従来よりも厳格なバッテリー検査が求められる」と述べた。

イ・グニョン教授は「機内持ち込みバッテリーを座席前や目に見える場所に置くようにする規定も必要だ。荷物棚の奥で火災が発生すると、発見が遅れて対応が難しくなる」と警告した。

ただ、こうした規制強化が航空機利用者の利便性を損なう可能性があるため、慎重な対応が求められるとの声もある。

イ・ドクハン教授は「機内持ち込みを許可したとしても、荷物棚に収納するなら委託手荷物と変わらない。乗客自身も、発火の兆候が見られた場合はすぐに乗務員に知らせるなど、安全確保のための責任を果たすべきだ」と強調した。

国土交通省の資料によると、韓国の航空会社における機内バッテリー火災は、2023年に6件、2024年は8月までに5件発生している。年間5~6件のペースで機内バッテリー火災が発生している。

(c)news1

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