2025 年 10月 10日 (金)
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韓国・李在明政権に亀裂再び…外交・安全保障揺るがす“自主vs同盟”の内紛 [韓国記者コラム]

2025年8月25日(現地時間)、トランプ米大統領との首脳会談に先立ち、ホワイトハウスのルーズベルトルームで芳名録に署名するイ・ジェミョン(李在明)大統領=ホワイトハウス提供(c)news1

韓国のイ・ジェミョン(李在明)政権で、外交・安全保障政策をめぐる「自主派」と「同盟派」の対立が再び表面化している。2000年代初頭のノ・ムヒョン(盧武鉉)政権当時にも見られたこの構図が、政権内部の不協和音として再燃しているのだ。

ムン・ジェイン(文在寅)政権初期にも、経済政策を巡って青瓦台政策室長だったチャン・ハソン氏と、企画財政相だったキム・ドンヨン氏が「所得主導成長」をめぐり衝突したことがある。大胆な政策推進を主張したチャン・ハソン氏と、慎重論を唱えたキム・ドンヨン氏の対立は、ついに大統領の仲裁にもかかわらず収拾されず、両者が同時に更迭される結果を招いた。結果として政府の経済政策全体に対する不信を残した。

そして今、同様の分裂がイ・ジェミョン政権でも見られる。外交・安全保障ラインでは、同盟重視のウィ・ソンラク(魏聖洛)国家安保室長やチョ・ヒョン(趙顕)外相に対し、南北交流を重視する自主派のチョン・ドンヨン(鄭東泳)統一相が対立軸を形成している。

チョン・セヒョン(丁世鉉)元統一相が9月、「大統領が前に進めないよう足を引っ張る勢力がある。いわゆる同盟派が多すぎる」と公然と批判したことをきっかけに、政権内の亀裂が顕在化した。イ・ジェミョン大統領が国連総会で発表した対北朝鮮政策「E・N・D(Exchange・Normalization・Denuclearization)イニシアチブ」をめぐっても、優先順位をめぐる解釈が食い違っている。チョン・ドンヨン統一相が「交流→関係正常化→非核化」の順を主張したのに対し、ウィ・ソンラク室長は「同時的に進む相互推進関係」と述べた。

チョン・ドンヨン統一相はさらに、公の場で大統領府の立場と異なる「南北二国家論」に言及した。これに対し、ウィ・ソンラク室長が「国際法的観点からの発言なのか分からない」と火消しに追われる場面もあった。最近では、国家安全保障会議(NSC)の構成をめぐり不満を表明するなど、内部対立は続いている。

イ・ジェミョン大統領は就任以来、「国益中心の実用外交」を掲げてきた。3500億ドル規模の対米投資をめぐる関税協議や、南北関係改善と朝鮮半島の非核化という難題を抱える今、派閥争いに時間を費やす余裕はない。

公の場で相手を批判し合うことは「信念の違い」ではなく「権力欲」と受け取られかねない。政策の実効性を損ない、政権の信頼を揺るがす結果となる。今こそ政府内の足並みを揃え、実利外交という原点に立ち返るべき時だ。【news1 ハン・ジェジュン記者】

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