韓国で最低賃金制度が1988年に導入されて以来、初めて「最低賃金1万ウォン(約1100円)時代」を迎え、これまで労使間の対立を繰り返してきた「最低賃金の決定方式」の改善が実現するか注目されている。
専門家らは、政権の影響を受けて最低賃金の引き上げ率が変動してきた点を指摘し、客観的なデータに基づく決定基準の確立を提案してきた。
雇用労働省によると、政府は2024年11月に発足した「最低賃金制度改善研究会」で改善策の議論を進めている。研究会は今年1月にも議論を続け、具体的な改善案の策定を目指している。
最低賃金は労働者・使用者・公益委員各9人、計27人で構成される最低賃金委員会で毎年合意制で決定される。しかし、37年間の制度の歴史の中で、労使間の合意で最低賃金が決まったのはわずか7回に過ぎない。
これまでの最低賃金決定は、明確な基準がないまま、労使が「交渉」する形で進められることが多かった。このため労使間の対立が毎年繰り返され、最終的に公益委員による投票で決定されるのが慣例化している。
2025年の最低賃金も、公益委員の票決で決定された。基準が不明確なまま計算方式が変更されたことに批判が集まり、最低賃金委員会内部でも決定システムの限界を指摘する声が上がった。
現在、研究会では最低賃金の「審議促進区間」を設定して本委員会で最終決定する二段階方式や、決定プロセスを区間設定と最終決定に分ける改編案など、さまざまな方式が検討されている。しかし、制度の大幅な改変には時間がかかるとみられる。
特に2026年の最低賃金審議は2025年3月末に開始される予定であり、それまでに新制度が導入されるのは難しいとの見方もある。最低賃金改正が法改正を伴うため、社会的合意や国会での審議・可決も必要となる。
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