2025 年 7月 14日 (月)
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韓国・最低賃金わずか1.8~4.1%増に留まる見通し…労使の溝は埋まらず

7月9日、政府世宗庁舎で開かれた最低賃金委員会の第10回全員会議が終了し、第11回会議の準備のために会場を離れる公益委員(c)news1

2026年度の最低賃金をめぐる韓国の労使交渉が最終段階で激しい対立に直面している。政府の最低賃金委員会(最賃委)は7月9日未明、労使間の隔たりが埋まらない中で、公益委員が最低賃金を1万210ウォン~1万440ウォンの範囲で定める「審議促進区間」を提示した。これは今年より1.8~4.1%の引き上げに相当し、いずれに決定しても、イ・ジェミョン(李在明)政権にとって初の最低賃金引き上げ率としては歴代最低水準になる見通し。

公益委員が示した審議促進区間の根拠として、下限は2025年の消費者物価上昇率見通し(1.8%)、上限は国民経済の生産性上昇率(2.2%)や直近3年間の物価と最賃の上昇差(1.9%)などが挙げられた。

しかし労働界は「物価上昇や実質賃金の下落が反映されていない」として強く反発。民主労総(全国民主労働組合総連盟)の幹部は「新政権の最低賃金がこれでは、労働尊重とは言えない」として、公益委員が提示した審議区間の撤回を要求した。

労働界が怒りを強めている背景には、歴代政権の初年度における最低賃金の引き上げ率と比較して、今回の水準が著しく低い点がある。たとえばムン・ジェイン(文在寅)政権では16.4%、ユン・ソンニョル(尹錫悦)政権でも5.0%の引き上げだった。これに対し、今回の1.8~4.1%という幅は、1998年のキム・デジュン(金大中)政権(2.7%)に次ぐ低水準だ。ただ、当時はIMF危機という特異な状況があったため、単純比較はできないとする指摘もある。

このため最低賃金が1万210ウォン~1万440ウォンの範囲で決定されれば、事実上「歴代最低」の引き上げ率となる。これは「労働を尊重する政府」というイ・ジェミョン政権のスローガンとも矛盾し、批判の声が高まっている。

一方、経営側は「低賃金業種の小規模事業者にとって、過度な人件費負担は廃業の引き金になる」として、最小限の引き上げを主張している。使用者側代表の韓国経営者総協会(経総)の幹部は「労働側の案の通りなら、1人あたり年間約300万ウォンの負担増になる」と述べた。

これに対し、労働側代表である韓国労働組合総連盟(韓国労総)の幹部は「1万1020ウォンという案は、生活安定に必要な最低水準だ」と主張。すでに労働界は当初の1万1500ウォン(14.7%増)から段階的に譲歩し、最終的に1万1000ウォン(8.7%増)まで引き下げている。

(c)news1

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