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韓国の主要映画館3社が昨年の国内事業でそろって赤字を記録し、業界の低迷が続いている。上映予定作の不足やヒット作の不在から、不振は今後も続くと予想される。
メガボックスは2024年に134億ウォンの営業損失を計上。前年(177億ウォン)より赤字幅は縮小したものの、依然厳しい状況だ。他の映画館チェーンも同様で、CJ CGVは海外事業の好調により759億ウォンの営業利益を確保したが、国内事業は76億ウォンの赤字だった。ロッテシネマもベトナム事業の黒字で補填したものの、国内では大幅な損失を出した。
業界低迷の背景には、期待作の興行不振がある。韓国映画では「破墓」「犯罪都市4」以外に大ヒット作がなく、ハリウッド映画も「ジョーカー2」「グラディエーター2」の公開延期で年末特需を逃した。さらに、劇場公開からOTT配信までの期間短縮が進み、観客離れに拍車をかけた。2024年第4四半期の観客数は2628万人で、前年同期比15.9%減となった。
2020年のコロナ禍以降、新作映画への投資減少で上映作品そのものが不足。今後も目玉となる海外作品は少なく、「アバター3」は2025年12月公開予定と、しばらく厳しい状況が続く見込みだ。
こうした中、業界は海外事業の拡大や特殊館(技術特化型スクリーン)の増設に活路を見いだそうとしている。CJ CGVはベトナム(263億ウォン)・インドネシア(127億ウォン)・トルコ(37億ウォン)市場の好調が業績を支え、「SCREEN X」など特殊館の売り上げも前年比70%増加。2025年は、戦略市場でのSCREEN X拡大や収益構造の改善により、収益性向上を目指す方針だ。
映画館業界は、低迷する国内市場の影響を抑えるため、グローバル展開と新たな上映体験の提供へシフトしていくとみられる。
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