2025 年 1月 8日 (水)
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韓国・旅客機事故、空の安全への警鐘…新空港建設とUAM実用化に見直しの動き

3日、務安国際空港の事故現場で引き揚げられた済州航空機7C2216便のランディングギアの残骸(c)news1

韓国・済州航空の旅客機事故が発生し、航空安全に対する懸念が高まるなか、地方空港の新設や都市型航空モビリティ(UAM)の実用化計画に慎重論が広がっている。

昨年12月29日に発生した済州航空機事故では、務安(ムアン)国際空港の管理体制の不備が一因とされている。同空港では過去6年間で10回のバードストライクが報告されているのに、鳥の動きを探知するレーダーや熱感知装置が設置されておらず、鳥害対策の専任スタッフもわずか4人に過ぎない。

同様の問題は他の地方空港でも見られ、例えば、江原道(カンウォンド)の襄陽(ヤンヤン)空港には管制レーダーがなく、蔚山(ウルサン)空港は滑走路の長さが2キロメートルと国内最短だ。また、地方空港にはコンクリート製の着陸誘導施設が多く、これが事故の一因となる可能性が指摘されている。

こうした状況から、現在進行中の地方空港建設プロジェクトの遅延が懸念されている。建設が計画されている空港には、加徳島(カドクト)新空港や大邱慶北(テグキョンブク)統合新空港などが含まれ、安全性の確保が最優先事項となりそうだ。

専門家は「新規空港建設では、厳しい安全基準を適用する必要がある」とし、経済性よりも安全性を重視した設計の見直しを求めている。国土交通省も新空港建設の設計プロセスを再検討する意向を示している。

◇航空機よりも鳥との衝突に弱い

都市部での飛行を想定したUAMについても、安全性への懸念が高まっている。UAMは航空機よりも鳥との衝突に弱く、さらに都市特有のビル風や乱流により墜落のリスクが高まる可能性がある。

特にUAMは都市中心部に設置される「バーティポート」での離着陸が前提となるため、事故が発生した場合の被害規模が大きくなると指摘されている。これを受け、UAMの実用化計画をいったん停止し、安全基準を再評価すべきとの声が上がっている。

国土交通省は「安全が確認されない限り、UAMの商用化は進めない」とし、従来の産業中心の視点から安全重視へと政策を転換する方針を明らかにしている。

今回の事故は、航空安全の重要性を改めて浮き彫りにした。地方空港とUAMに関する計画は、経済性だけでなく、安全性の確保を最優先に据えた形で見直しが進められそうだ。

(c)news1

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