
韓国の免税店業界に激震が走った。韓国の大手流通企業ホテル新羅が運営する新羅免税店が、仁川国際空港の「DF1区域」(化粧品・香水・酒類・たばこ)の営業権を返上すると決定したためだ。これにより、今後の入札に中国国営免税集団(China Duty Free Group=CDFG)が参入する可能性が浮上し、国内業界に波紋を広げている。
新羅免税店は9月18日の取締役会で事業権返上を決定し、違約金1940億ウォンを納付したうえで、2026年3月17日まで営業を続ける。DF3区域(ファッション・ブティック)は維持するため、仁川国際空港公社との賃貸契約関係は残る。一方、同じく賃料引き下げを要望していた新世界免税店は結論を先送りしている。
今回の撤退対象エリアは、収益性が高く免税店各社が熾烈な競争を繰り広げてきた「稼ぎ頭」区画だ。再入札にはロッテ免税店や現代百貨店免税店の参加が見込まれているが、業界最大の関心はCDFGの動向に集まる。すでにCDFGが国内事業者と接触しているとの情報も出ている。
仁川国際空港公社は国際入札を通じて新たな事業者を選定する方針で、観光客の免税ショッピングに支障がないよう、6カ月の義務営業期間内に後続事業者を決める。評価項目には営業実績や商品構成、マーケティング計画のほか、国内活動実績(ESGなど)が含まれており、外国企業にとっては依然ハードルが高いとされる。
ただ、中国は自国の空港免税事業を国営企業に独占させており、台湾・タイ・フィリピン・日本なども自国業者を優先している。そうした中で韓国が国際入札を堅持している点が注目される。もしCDFGが選ばれれば、仁川空港免税事業を足がかりにソウル市内免税店特許の新規取得にも有利に働く可能性がある。
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