新学期を控えた韓国の小中高校教師たちの間で、修学旅行をはじめとする現場体験学習を忌避する雰囲気が広がっている。事故が起きれば責任を問われかねず、校内暴力やいじめでもあれば保護者からの苦情が殺到するためだ。
京畿道水原(キョンギド・スウォン)の高校に勤める16年目の40代教師は「以前は熱血担任で子どもを連れて登山やキャンプ、料理実習までやった。しかし、不祥事が怖いから、これからは最大限、仕事をしないようにしている」とため息をついた。
児童生徒が負傷する事故でも起きても学校安全法により共済会が補償するので教師個人に賠償責任はない。しかし、学校の外部で起きると保護者が過敏になり、教師の負担感も倍増する。
京畿道龍仁(キョンギド・ヨンイン)の中学校に勤める20代の教師は「あちこちで体験活動をしたかったが、初日にトイレへ行った生徒が自転車とぶつかってけがをした。先生の不注意だと電話で苦情が入り、何もしたくなくなった」と話した。
いわゆる「黄色いバス騒ぎ」の影響も小さくない。政府が昨年9月、体験学習などの際、安全装置を備えた「黄色い通学バス」を用いるという方針を決めたことで、バスを手に入れられない学校で混乱が起きた。結局、この方針は撤回されたが、事故が起きたら教師が民事・刑事上の責任を負う恐れがあることが顕在化し、一部の学校は体験学習を取り消した。
ソウル市教育庁関係者は「体験学習は必須ではなく、実施しなくても教師らに不利益はない。修学旅行のような体験学習の計画を教育支援庁に出せば、現地を一緒に点検して実施することもできる」と説明し、沈静化を図っている。
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