
韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領に対する憲法裁判所の弾劾審判宣告を控え、棄却や却下を求めるデモ隊が連日、憲法裁前に集結している。一部のデモ参加者は正門付近にレジャーシートを敷いて座り込みを続けており、事実上の無断占拠となっている。
13日午前9時30分ごろ、憲法裁前での座り込みは弾劾反対派の約15人だったが、午後3時40分には約50人にまで増えた。
デモ隊が座り込んでいるのは憲法裁正門前の歩道で、本来なら憲法裁側の使用許可が必要な場所だ。憲法裁関係者は「正門前の歩道使用を許可した事実はない」と話す。
無断占拠や未申告の集会が疑われる状況だが、警察による統制は難しいようだ。警備にあたる機動隊員は次のように明かす。
「使用許可を取ったのかと尋ねれば『取った』と答えるが、それをいちいち確認するのは困難だ。無理に排除しようとすれば、衝突が起こり負傷者が出る可能性がある」
この警察官は、過去にソウル西部地裁で起きた混乱でも、占拠したデモ隊を排除しようとして危険な目に遭ったと現場の苦悩を語った。
なお、「集会およびデモに関する法律」により、裁判所から100メートル以内での集会やデモは原則禁止されている。
このレジャーシート座り込みによってスペースが狭まり、事前に憲法裁前で集会を予定していた市民団体はやむなく場所を変更する事態となった。このため、弾劾反対派のデモが他陣営の活動を実質的に妨害しているという批判も出ている。
さらに、韓服観光コースにもなっている憲法裁前の道路や街路樹には、弾劾反対を訴えるビラやステッカー、プラカードが至るところに貼られている。ある街路樹には、テープやロープが巻かれ、憲法裁判官の実名と「×判」などの侮辱的な表現が書かれたプラカードも掲げられている。道路沿いに貼られた広告ステッカーには、弾劾反対関連のコンテンツにつながるQRコードが記載されていた。
鍾路区庁の関係者は苦悩の表情で次のように語った。
「巡回・現場確認をしているが、撤去しようとすれば現場での反発が激しく、撤去作業員の安全に問題が生じる可能性があるため様子を見ている。街路樹に貼られたステッカーやプラカードは屋外広告物とみなせば『屋外広告物法』に基づき撤去や処置は可能だが、誰が貼ったのかを特定するのが難しく、対応が容易ではない」
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