韓国・憲法裁判所が12月31日、憲法裁判官2人を新たに任命し、長らく続いていた6人体制から8人体制へ移行した。完全な9人体制には至らないものの、審理の遅延に対する懸念がひとまず解消され、ユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領の弾劾審判の審理に進展が期待される。
大統領権限代行のチェ・サンモク(崔相穆)経済副首相兼企画財政相は31日午後に国務会議(閣議)を開き、チョン・ゲソン(鄭桂先)、チョ・ハンチャン(趙漢暢)の両候補の任命を承認した。一方で、マ・ウニョク(馬恩赫)候補については与野党間の合意が確認され次第、任命するとした。
憲法裁判所は、憲法裁判官9人で構成され、大統領、国会、大法院長がそれぞれ3人を指名する。裁判所法に基づき、7人以上の裁判官が出席して審理し、弾劾決定には6人以上の賛成が必要とされる。
憲法裁判所は2024年10月、所長を含む3人の裁判官が退任する事態に直面し、すべての審理が中断する危機を迎えた。この際、審理定足数に関する仮処分が認められ、6人体制での審理が続けられていた。
しかし、ユン大統領を含む国務委員(閣僚)らの弾劾審判事件が相次いで持ち込まれ、6人体制では1人の反対で弾劾が否決される可能性が指摘されていた。このため、裁判官の追加任命が求められていた。
今回の裁判官任命により、憲法裁判所の審理は一定の正当性を確保したとの評価がある。2017年のパク・クネ(朴槿恵)大統領(当時)の弾劾審判も8人体制で進められた経緯がある。
現在、憲法裁判所には、ユン大統領、ハン・ドクス(韓徳洙)首相、チェ・ジェヘ(崔載海)監査院長、パク・ソンジェ(朴性載)法相ら8件の弾劾審判を含む主要案件が多数積み残されており、審理の加速が求められている。
ただし、2025年4月18日にはムン・ヒョンベ(文炯培)憲法裁所長権限代行やイ・ミソン(李美善)裁判官の退任が予定されており、その後は再び6人体制に戻る可能性がある。マ・ウヌク候補者が任命されても7人体制に留まるため、4月までに主要案件の審理を終えるべきとの見解も出ている。
憲法裁判所関係者は「憲法裁判官9人体制の早期実現が望まれる」としながらも、「次の裁判官がいつ任命されるかが未定」と述べている。
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