韓国・安山市に、児童性犯罪に関与した元被告が転居し、地元で騒動になっている。現行法では性犯罪者の居住地に関する情報が自治体と共有されておらず、法整備をすべきだと指摘されている。
元被告は2008年12月、安山市で女児に性的暴行を加えたとして懲役12年の判決が確定した。2020年12月に刑期満了となり出所し、電子足輪の装着や24時間の監視など、厳重な管理下に置かれた。
元被告は今年10月、それまでの居住地から約2キロ離れた安山市内の他の住居に引っ越しした。ただ、安山市がこれを把握したのは、市職員が引っ越し荷物の出入りを目撃したことだった。警察や法務省からの通達は一切なかった。
法務省は現在、出所した性犯罪者が新しい居住地に移動する際、警察には情報を提供するが、自治体には通知されない。このため、自治体は地域安全を担う立場にありながら、重要な情報から締め出されている状況が続いている。
警察や自治体も元被告の居住地周辺でパトロールや監視をしているが、自治体が情報を事前に得ることができない限り、実質的な対応には限界がある。また、こうした性犯罪者の情報に関する権限が自治体には認められていないため、独自の取り組みが困難となっている。
韓国では、こうした性犯罪者の居住地制限や情報公開を目的とする韓国版「ジェシカ法」(性犯罪者に対する厳罰などを規定した米国の法律。フロリダ州で誘拐殺害された少女ジェシカ・ランスフォードさんの名にちなむ)の導入も検討されているが、2020年の国会では廃案となり、今国会で審議中だ。
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