韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領の2回目の逮捕状執行が迫る中、ソウル市龍山区漢南洞の官邸前で大統領弾劾を支持する勢力と反対する勢力の集会が連日開かれ、対立が激化している。警察は暴力事件への発展を懸念し、令状執行の妨害者を現行犯として逮捕する可能性を示唆している。
警察によると、ユン大統領に対する逮捕状が昨年12月31日に発付されて以来、弾劾支持派と反対派は13日まで毎晩、集会を続けている。
集会では支持派と反対派の間で衝突が頻発しており、暴力事件への懸念も高まっている。12日には、反対集会の参加者が野党代表を侮辱しながら刃物を振り回したとして、特殊脅迫容疑でソウル龍山警察署に現行犯逮捕された。
また、2日には反対派の参加者2人が支持派の設置したテントに侵入し、「赤狩り」「(野党・共に民主党代表の)イ・ジェミョン(李在明)を逮捕せよ」と叫びながら集会を妨害し、公務執行妨害容疑で逮捕されている。
特に、反対派の一部は逮捕状執行を妨害しようとする動きを見せており、暴力の拡大が懸念されている。3日の令状執行時には、ポリスラインで制止された反対派参加者が警察に抗議する場面も見られた。
さらに、「反共青年団」という保守団体が官邸周辺で、道行く市民を捕まえて「逮捕執行に向かう警察ではないか」と身体を張って阻止する行為も報告されている。
保守派の集会参加者たちの論理や行動が、2021年の米議会襲撃事件時のトランプ大統領(当時)支持者たちと類似している点が懸念されている。彼らは「STOP THE STEAL」というスローガンを掲げ、選挙の不正を主張している。米議会襲撃事件では少なくとも5人が死亡し、約1600人が事件に関連して起訴される大規模な混乱が発生した。韓国でも同様の状況が生じるリスクが指摘されている。
白石大学警察行政学科のイ・ゴンス教授は「集会参加者と主催者に対し、法的な違反行為には厳しい対応を取ることを明確にすべきだ」と述べ、違法行為者を逮捕し、集会の禁止措置を講じる必要があると指摘した。
また、イ・ホヨン警察庁長職務代行は「令状執行の妨害は現行犯として処罰される」と述べ、公務執行妨害として厳格に対処する姿勢を示した。警察は、集会と衝突の管理に重点を置きつつ、令状執行の妨害行為に対しては毅然とした対応を取る方針だ。
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