
韓国・大田(テジョン)市で小学生が刺されて死亡した事件を受け、政府と与党・国民の力が学校専任警察官(SPO)の増員と学校周辺の巡回強化を推進している。しかし、現場の警察官からは「またもや警察任せか」との不満が噴出している。SPOの本来の役割と合致しないうえ、明確な原因分析もなく警察にだけ責任を押し付けているという指摘だ。
警察内部ネットワーク「ポルネット(PolNet)」には、釜山警察庁職員協議会のチョン・ハクソプ会長名義で「結局すべて警察の責任?」というタイトルの投稿が掲載された。
チョン会長は「韓国では何か問題が起こると、解決策はすべて警察に押し付けられる」とし、「学校で犯罪が発生したからといって学校に警察官を配置するなら、警察官を配置しなければならない場所は際限がない」と批判した。そのうえで「国家は警察官に責任を負わせる前に、それに見合った権限や報酬を与えるのが当然だが、実際には責任ばかりが増え、権限や報酬はまったく向上していない」と指摘した。
この投稿には40件以上のコメントが寄せられ、警察官らから「問題の本質をしっかり分析し、対策を立てるべきだ」「教育庁に所属する司法警察官を新たに採用すべきだ」「全国の学校にSPOを配置するほどの人員がいるのか」「学校で発生するすべての問題をSPOに押し付けるつもりか」などの意見が続出した。
政府と与党は17日、SPOの増員を通じた学校周辺の巡回強化策を発表し、教育省も18日にこの内容を盛り込んだ「ハヌル法(被害児童の名前にちなんだ法案)」の推進を明らかにした。具体的な増員規模は明示されていないものの、SPOを増やし学校の安全管理を強化する狙いがある。国会でもSPOを学校に義務的に配置する法案が提出されている。
しかし、警察庁はこの協議過程に加わっていなかったことが判明し、関係者の間で困惑が広がったという。
警察庁によると、現在のSPOの定員は1127人で、1人あたり平均10.7校を担当している。一方、教育省の「2024年教育基本統計」によると、全国の小学校数は6183校に上る。すべての小学校にSPOを配置するには、現在の約5倍、5000人以上の増員が必要となる。
警察庁関係者は「学校巡回や犯罪予防を義務化する場合、警察は2人1組で動くため、全国の小学校約6100校に配置するには少なくとも1万2000人以上が必要になる。だが、公務員の定数削減方針の中、新規採用は難しく、他部署の警察官を転用するのも容易ではない」と述べた。
(c)news1