2025 年 11月 26日 (水)
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韓国・小売回復でも免税店だけ「厳しい」低迷…為替の影響+旅行トレンドの変化

2025年9月、ソウル市内の免税店(c)news1

韓国内の小売市場が回復基調を見せるなか、免税店業界だけが厳しい低迷を続けている。高止まりする為替相場と旅行トレンドの構造的な変化が重なり、業界はパンデミック初期並みの販売水準に逆戻りしている。

韓国国家統計ポータル(KOSIS)のデータによると、2025年3四半期の免税店小売販売額は3兆68億ウォンで、前四半期(3兆3228億ウォン)より9.5%(3160億ウォン)、前年同期(3兆5576億ウォン)より15.5%(5508億ウォン)減少した。これは2020年1四半期以来、最低の業績だ。

2020年1~9月の累計販売額が11兆5122億ウォンだったのに対し、2025年の同期間は10兆9545億ウォンで、4.8%(5577億ウォン)減少。パンデミック時よりも売り上げが低迷している。

これは、同時期に小売全体の売り上げが回復しているのとは対照的だ。2025年3四半期の総小売販売額は164兆4080億ウォンで、前年同期比3.2%増加している。

免税店の業績不振には、まずウォン安が挙げられる。リアルタイムで為替が反映される免税品価格は割高となり、特定品目では百貨店の方が安くなる「価格逆転」現象も発生している。

さらに、旅行パターンの変化も業界に打撃を与えている。今年上半期、訪韓外国人観光客は882万人を超え過去最多を記録したが、免税店の主な顧客層だった団体観光客が減少し、個人旅行客が中心となったことで、免税店での消費スタイルが変化した。

文化体育観光省の調査によれば、買い物に参加した外国人の割合は2019年の92.5%から2025年には約79%に低下し、コロナ以前の水準に戻っていない。外国人観光客の個人旅行比率は80%前後で定着しており、今後もこの傾向が続く見込みだ。

このような中、政府は業界の困難を認識し、免税店業界との対話に乗り出した。9月には企画財政省関係者が仁川空港の免税店を訪問し、主要運営企業と懇談した。

同省関係者は「ウォン安によりタバコなど一部品目で市中価格と免税価格の差が縮小し、買い物の動機が弱まった。外国人観光客が免税店よりも国内の有名ブランド店に流れている傾向も、業界に大きく影響している」と説明した。

(c)news1

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