韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領の「非常戒厳」宣布と「弾劾」に絡み、中学校・高校では生徒たちからの質問が相次ぎ、教師たちがその対応に頭を悩ませている。戒厳令や弾劾という概念が初めて耳にする用語であることから、生徒たちが疑問を抱く一方で、教師たちは説明が「政治的中立違反」と見なされないか不安を抱えている。
いまの中学生や高校生にとって、非常戒厳は初めての経験だ。1980年の光州民主化運動時に戒厳令が発令されて以来の出来事で、2016年のパク・クネ(朴槿恵)大統領(当時)弾劾の際も、今の中学1年生は当時わずか5歳、高校1年生は8歳だ。このため、多くの生徒にとって今回の非常戒厳と弾劾手続きは非常に新鮮かつ難解な問題となっている。
高校2年生のある女子生徒は「12月3日に『戒厳令』という言葉を聞いて、深刻そうだとは感じたけれど、正確な意味がわからなかった。先生がわかりやすく説明してくれるのではと期待していた」と語った。高校1年生の別の生徒も「試験期間中だったのでクラスで詳しく話すことはできなかったが、友達と帰宅途中に『戒厳令って何だろう』と話し合った」と述べた。
教師らは、こうした質問に対して無視するわけにもいかず、歴史や社会の授業で扱う範囲内で説明を試みている。しかし、非常戒厳や弾劾手続きが現政権の問題と直結しているため、説明内容が「政治的中立違反」と受け取られる可能性に神経をとがらせている。国家公務員法や地方公務員法、公職選挙法などでは、教師の政治活動を広く禁じている。
ある中学校の歴史教師は「非常戒厳が発令された週は、高校入試の出願期間で学校全体が忙しく、特に関連授業をする時間はなかった」としながらも、「生徒からの質問に答えるため、学期末試験後に使用できる資料を作成した」と語った。また、「12.3非常戒厳について教えることは特定の思想を押し付けるものではなく、どのような問題があったのかを教育するためのもの」と強調した。
一方で、ソウル市内の高校教師は「政治に関心のある一部の生徒は熱心に質問してくるが、学校がある地域の政治的傾向が明確なので、どのような反応が返ってくるか心配だ」と語った。
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