2025 年 2月 19日 (水)
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韓国・大統領弾劾見据え、本格始動した「次」目指す与党有力者…中道層拡大か、岩盤支持層維持か

12日午前、国会図書館大講堂で開催された「87体制克服のための地方分権改憲討論会」で記念撮影に臨むオ・セフン(呉世勲)ソウル市長やクォン・ヨンセ(権寧世)国民の力非常対策委員長ら(c)news1

憲法裁判所によるユン・ソンニョル(尹錫悦)韓国大統領の弾劾審判の決定が迫る中、与党の有力な大統領候補らが活発に動き始めている。与党内では、弾劾反対派が強硬な発言を繰り返して伝統的な支持層に訴えている一方、弾劾賛成派は中道層の支持を得るための戦略を進め、大統領選挙本選を見据えた動きを強めている。

与党「国民の力」の次期大統領候補として名前が挙がる広域自治体の首長や閣僚級、党指導部の人物らは、早期大統領選挙を想定し、政治的な活動を加速させている。

◇オ・セフン市長

ソウル市長を4期務めるオ・セフン(呉世勲)氏は、政界で最有力の大統領候補の一人と目されている。これまで政治的な問題への発言を控えていたが、12日には国会で「地方分権改憲討論会」を開催し、事実上の大統領選挙運動を開始した。

オ・セフン氏は、与党内の弾劾賛成派に分類されており、ハン・ドンフン(韓東勲)前代表、ユ・スンミン(劉承旼)前議員とともに、法の判断を仰ぐべきだとする立場を貫いている。ただ、憲法裁判所が弾劾を認めるべきだとする強硬な発言は控え、伝統的な支持層に配慮した慎重な対応を取っている。

◇ハン・ドンフン前代表

国民の力のハン・ドンフン前代表は、戒厳令発動当時、即座に「違憲・違法な戒厳」と批判し、国会の弾劾訴追案が可決される際には、自らに近い議員らが賛成票を投じた。ハン・ドンフン氏は「世代交代論」を掲げ、近く政界に復帰する見通しだ。

ハン・ドンフン氏を支持する「アンダー87」というグループは7日、キム・ヨンサム(金泳三)図書館を訪れ、「政治改革と国民統合を実現したリーダー、キム・ヨンサムを記憶する」と発言した。ハン・ドンフン氏が1973年生まれであることから「73」をシンボルとして活用している。

◇ユ・スンミン、アン・チョルス両氏

「合理的保守」を掲げるユ・スンミン前議員は、中道層からの支持を強調し、競争力をアピールしている。アン・チョルス(安哲秀)議員は、人工知能(AI)や改憲といった政策メッセージを発信し、存在感を高めることに注力している。

こうした候補者は、中道層の支持を拡大し、大統領選挙での競争力を高めようとしている。特に、最大野党「共に民主党」のイ・ジェミョン(李在明)代表の不支持率が高いことを踏まえ、中道層を取り込めば政権奪取の可能性が高まるとの戦略を取っている。

しかし、党内の予備選挙で中道層の支持がどこまで影響を与えるかについては疑問もある。伝統的な支持層がユン大統領を中心に結集する傾向が続いているため、弾劾賛成派の候補者が党員の支持を得るのは容易ではないとの見方もある。

◇伝統支持層を狙う動きも

もし大統領弾劾が成立すれば、60日以内に大統領選挙を実施する必要があり、現行の党内予備選挙ルールを変更するのは困難とみられている。

現行ルールでは、党員投票50%、一般国民の世論調査50%の割合で候補を選出する。さらに、野党支持者の影響を排除する「逆選択防止策」が導入されれば、保守派の意見がより強く反映される可能性が高い。

そのため、伝統的な支持層を狙った候補者たちの動きも活発化している。

弾劾反対派のウォン・ヒリョン(元喜龍)前国土交通相は、12日に国会で「公正な裁判が進められれば、ユン大統領の復帰も可能だ」と発言し、憲法裁判所を強く批判した。ウォン・ヒリョン氏は昨年の党代表選でユン大統領や親ユン派の支持を受けながらも落選した経緯がある。

ホン・ジュンピョ(洪準杓)大邱市長も11日、フェイスブックで「もし弾劾が棄却されれば、大統領には左右の対立を終結させる役割が求められる」と発信した。

一方、弾劾賛成派の候補者らも、党内の動向を意識した動きを見せている。オ・セフン氏は不正選挙疑惑について「投票管理に関する問題点の指摘は多く、改善が必要だ」と述べ、伝統支持層にも一定の配慮を見せた。ユ・スンミン氏は「裏切り者」という批判を克服するため、「保守の聖地」とされる大邱(テグ)を訪れた。

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