
韓国の公立医療機関の大多数が医師や看護師を定員どおり確保できていないことが明らかになった。地域格差解消と公的医療強化が政府の重要課題とされるなか、専門家は「地域に根ざした生活環境改善と人材循環の仕組みが不可欠だ」と指摘する。
国会保健福祉委員会のキム・ソンミン議員(祖国革新党)が国立中央医療院から受けた資料によると、2024年末時点で全国35の公立医療院に勤務する医師は1343人で、定員1451人の92.6%にとどまった。看護職員も8262人の定員に対し7669人(92.8%)しか確保されず、26施設で定員割れだった。ソウル医療院や城南医療院など大都市圏でも医師・看護師が大幅に不足している。
キム議員は「公的病院が十分な診療を提供できない状況」と警告し、地域医師制度や公立医科大学の設置など抜本的な対策を求めた。だが大韓医師協会は「憲法で保障された職業選択や居住移転の自由を侵害する」として強く反発している。
医師団体は「強制的な勤務義務ではなく、医療人材が自発的に地域・必須医療を担える環境整備こそ必要」と主張。かつての公衆保健奨学生制度が応募者不足で失敗した例を挙げ、「10年の義務勤務は臨時の対症療法にすぎない」と批判した。
現場の専門家らは「根本的には地方で働きやすい病院づくりが欠かせない」と一致する。江原道寧越医療院のチョ・スンヨン医師は「医師は応募がなくて採用できず、看護師は患者数や人件費の問題で採用を絞らざるを得ない。日本のように地域の病院を強化しなければ長期的解決は難しい」と語る。
チョン・ウンギョン(鄭銀敬)保健福祉相も「地域医療格差の解消と必須医療の確保、公的医療の強化が核心課題だ」と述べ、具体的なロードマップ作成を進める方針を示している。
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