2024 年 11月 25日 (月)
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韓国・受験生に広がる電子たばことそのリスク [韓国記者コラム]

(c)news1

「大学入試の勉強中に眠気覚ましのために頻繁に吸っています」

ソウル市西大門区にある高校に通う男性(19)は、勉強中に眠気が襲ってくると、コーヒーの代わりに「電子たばこ」を吸う。少しでも勉強時間を確保するためだ。煙を吸い込むと眠気がすぐなくなるうえ、電子たばこは匂いがしないため、親や教師に隠すのも簡単だという。

男性は「煙を吸い込むと気分は良くないが、眠気は確実に消える。大学入試が近づくと、みんな一度は試してみるようだ」と話している。

韓国で、大学修学能力試験(日本の大学入学共通テスト)を約1カ月後に控えた一部の受験生が、眠気を追い払うために電子たばこに手を出していることが知られている。匂いが強くなく、無人販売機などで簡単に入手できることも一因だ。

専門家らは、ニコチンの吸入によって得られる眠気覚まし効果は一時的なものであり、喫煙が長期間続くと、むしろ睡眠の質の低下や肺の損傷などの副作用を引き起こす可能性があると懸念を示している。

かつての「遊び人がたばこを吸う」という世間のイメージは、今や「昔の話」となっている。好奇心から始めて、眠気を覚ましたり、勉強のストレスを解消するためにたばこを吸うケースが増えているという。

高校2年生の時から電子たばこを吸い始めた受験生のチャンさん(20)は「模擬試験の日になると、学業のストレスで手が伸びてしまう。電子たばこを吸い、ボディスプレーをかけて学校に行っていた。親に気づかれず、持ち運びも便利なので愛用していた」と話す。

ソウル市江北区にある高校に通う19歳は「友達の知り合いの兄さんがやっているネットサイトから入手して吸っている。いろいろな味がしてたばこみたいじゃない。匂いもないから親にもバレない」と言う。

電子たばこへの青少年のアクセスが簡単になっていることは、統計からも確認できる。2020年以降、液状型電子たばこの使用率が増加しているとの報告がある。

2020年には喫煙経験のある青少年の割合は、男子学生で全体の2.7%、女子学生で1.1%だったが、2023年にはそれぞれ3.8%、2.4%と、1.5~2倍増加している。

電子たばこの購入が簡単にできることも問題だ。

無人販売機では「偽造」身分証でも購入が可能なほど管理が甘い。自動販売機で電子たばこを購入するには、商品を選択した後、身分証を認証し、決済ボタンを押す手順が必要だ。記者がソウル鍾路区の自動販売機で試してみたところ、有効期限が切れた「偽造」身分証でも購入が可能だった。

店内には「未成年者入店禁止」と書かれた表示が掲げられていたが、携帯電話番号を使った認証手続きや、未成年者の入店を防ぐための遮断機などは一切設置されていない。市民団体「市民公論広場」が今年8月にソウル市麻浦区と江南区にある電子たばこの無人販売店4カ所を調査した結果、運転免許証のコピーだけでも認証ができるなど、管理がずさんであることが明らかになった。

SNSでの購入も簡単だ。「代理購入」というキーワードで検索すると、100件を超える投稿が見つかる。成人が電子たばこを購入して未成年者に渡し、1個あたり手数料を受け取る。ハッシュタグには「#未成年者」が堂々と付けられており、「受け取りました」といったレビューも簡単に見つかる。

市民公論広場の代表であるスウォン大学公共政策大学院教授のイ・ギョンフン氏は「母親の身分証のコピーを持って行くだけで認証できる。マンションの商店や学校の近くのコンビニでも手に入り、オンライン購入にも特に制限がないため、青少年が簡単に接触できる」と懸念を示す。

2010年から首都圏の青少年を対象に禁煙教育を実施している「ナウ保健所」のパク・ジョングァン教育本部長は「眠気が覚めるというのは、合成物質に体が驚く反応を示しているだけ。電子たばこに使われる合成ニコチンの多くは有害性が検証されていないため、非常に危険」と説明する。

江北サムスン病院小児青少年科のキム・ウンスル教授は「韓国では青少年と電子たばこに関する研究はまだ本格的に進んでいないが、青少年が長期間喫煙すると、睡眠の質が低下するだけでなく、成人よりも肺の損傷が深刻になる可能性が高いので注意が必要だ」と指摘する。【news1 イ・ガン記者、キム・イェウォン記者】

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