2025 年 10月 15日 (水)
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韓国・前ファーストレディー捜査の特検チームが窮地に…高まる「暴力的捜査」批判

2025年7月2日、ソウル・KT光化門ビルに設置された事務所の看板を除幕する特検関係者(c)news1

韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)前大統領の妻キム・ゴニ(金建希)氏をめぐる捜査を担当するミン・ジュンギ特別検察官チームが、強圧的な捜査をしたとの批判に直面し、再び窮地に立たされている。特検の取り調べを受けた地方公務員が死亡したうえ、出産直後の女性公務員が滞在する産後ケア施設を家宅捜索したことが判明し、「暴力的捜査」との非難が高まっている。

キム・ゴニ特検は、派遣検事の復帰問題で内紛を経験した直後にこの事件が発生し、チームの存続が再び問われる事態となった。

死亡したのは、京畿道楊平郡庁の公務員(57)。この公務員は「楊平公興地区開発特恵」疑惑で被疑者として特検の取り調べを受け、8日後の10月10日に自宅で遺体で発見された。

公務員は10月2日午前10時から翌日午前0時頃まで長時間の調べを受け、帰宅後に直筆メモを残していた。そこには「知らない、覚えていないと事実を話しても、しつこく追及された」「事実を話しても嘘だと言われた」「強圧的な捜査官に押され、覚えていない内容を供述した」「郡守の指示はなかったと答えても、何度も追及された」などの記述があった。

特検チームは「強圧捜査はなかった」と否定。声明で「当該公務員の供述内容は、すでに他の公務員の証言と一致しており、再確認のための調査だった。新たな供述を強要する理由はなかった」と説明した。

しかし、当該公務員の弁護人は「書面による同意なしに深夜まで取り調べを強行した」と主張。公務員のメモにも「深夜12時を過ぎても取り調べが続いた」と記されていた。人権保護捜査規則では午後9時から午前6時の「深夜調査」は原則禁止で、本人の同意が必要と定めている。

特検側は「午後8時50分に本人の同意を得て午後10時40分に終了、調書の閲覧を終えたのは午前0時52分だった」と反論した。

一方、今回の特検には検察官が不在の「非検察チーム」が含まれていることから、捜査統制の欠如が問題視されている。当該公務員を取り調べたのは、特検の9つのチームのうち唯一、検事を含まない「警察+弁護士」チーム。判事出身のムン・ホンジュ特検補が指揮し、12人の警察官と2人の非検察出身弁護士が所属している。

さらに、このチームは「楊平高速道路終点変更特恵」疑惑をめぐり、出産直後の国土交通省職員が入院していた産後ケア施設を家宅捜索していたことも明らかになった。野党「国民の力」は「産後の女性に深刻な精神的打撃を与え、すぐに退所せざるを得なくなった。合法を装った暴力的捜査だ」と非難。特検側は「夫の立ち会いのもと、最大限人権を尊重して執行した」と釈明した。

検察出身で前国会議員のキム・ウン弁護士は「最も重要なのは捜査の統制。統制されていない捜査は暴走する」と警鐘を鳴らした。「特に政治的事件では、成果への圧力が強圧捜査を招く。司法的な監視が欠かせないが、現状ではそれが機能していない」とも述べた。

ソウル市内の法学専門大学院教授は「原則として人権侵害的な捜査はあってはならない。ただし実際に強圧的な行為があったかどうか、事実関係を精査したうえで判断すべきだ」と慎重な見解を示した。

(c)news1

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