韓国で、中小企業向けの研究開発(R&D)予算の大幅な削減によって、多くの企業がプロジェクトを中断し、関連する「埋没コスト」が約500億ウォン(約55億円)に達することが判明した。これにより、韓国政府が現場の実情を無視して政策立案したことにより、予算支出が無駄になっているという批判につながっている。
産業通商資源・中小ベンチャー企業委員会資料によると、予算削減の影響でR&Dプロジェクトを中断するか、もしくは中断を申請した中小企業は今年6月時点で152社にのぼる。これら企業に2023年までに投入された研究費は総額483億500万ウォン(約53億円)。152のプロジェクトが無期限に中断されることで、500億ウォン近くの税金が無駄になる危機に直面している。
政府は昨年、非効率を是正するという名目でR&D関連予算を大幅に削減し、中小ベンチャー企業省もその影響を免れなかった。2023年に1兆8247億ウォン(約2019億円)だった中小企業R&D関連予算は、2024年には1兆4097億ウォン(約1559億円)=気候基金を含む=に縮小され、4150億ウォン(約460億円)の減少となった。
この結果、同省は20の事業で、2477の企業を対象に予算を一律で50%削減し、プロジェクトの継続・中断を決定するための協議を進めた。その過程で、152の企業がプロジェクトの中断を選択するに至った。
中には予定された支援金に合わせて研究機器の発注を済ませた企業もあり、予算削減により研究を継続できず、途中で断念する事態となった。
一般会計分野での中小企業商用化技術開発費183億4900万ウォン(約20億円)が実質的に消失した。素材・部品・装備の競争力強化特別会計における、昨年までに中小企業技術革新開発に投入された119億1500万ウォン(約13億円)や、気候資金を使って10社に提供された創業成長技術開発費24億500万ウォン(約2億7000万円)も同じだ。
2023年の新規事業であった一般会計の革新製品高度化技術開発も、50%の予算削減対象となり、事業が本格化する前に支援金が半減した。中断されたプロジェクトに対しては、民間からの資金負担もなく、全てが政府予算からの支援となっている。
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