
暑気払いで保養食を食べる「三伏」に際し、若い世代の間では伝統的な保養食であるサムゲタン(参鶏湯)やペクスク(鶏の水煮)より、自身に合ったサプリメントを摂取するという“新たな養生”が定着しつつある。
「三伏に必要なのは、熱いスープより自分の身体に合った栄養素だと思う」。そう語る20代の女性会社員は、昨年秋から乳酸菌とマルチビタミンのサプリメントを日常的に摂っている。「体調維持に役立ち、胃腸の調子もよくなった」という。
かつては定番だったサムゲタンも、一人暮らしでは量が多く敬遠されがち。炎天下で熱い料理を食べることに負担を感じるという声もある。こうした背景のもと、手軽でコストパフォーマンスも良い健康機能食品が支持を集めている。
韓国健康機能食品協会によれば、2024年の国内健康機能食品市場規模は6兆2000億ウォンを超え、パーソナライズされた“サプリ定期配送サービス”も登場するなど、急速に市場が拡大している。
価格の高さとアクセスの難しさも、伝統的な保養食を避ける理由に挙げられる。別の20代会社員は「参鶏湯も高価だし、補身湯(犬肉スープ)は食べたくても店がなく、地方まで行かないといけない」と話す。
一方、健康機能食品が三伏の保養食の“代替”として適しているかには異論もある。「サプリは日常の体調維持に役立つものであって、三伏の『暑さを乗り切る』という象徴的な意味合いは薄い」と、20代の別の会社員は語る。
「サムゲタンを食べると『夏を乗り越えた』というプラシーボ効果がある。サプリは補助的な役割でしかない」という声も聞かれ、食文化としての保養食の意義を重視する意見も依然として根強い。
インフルエンサーによるSNSコンテンツや、コンビニで手軽に買えるといった「アクセスの良さ」も若者の選択を後押ししている。
仁川大学消費者学科のイ・ヨンエ教授は「MZ世代は三伏の意味自体をよく知らず、コスパを優先する傾向が強い。健康機能食品は価格と利便性の面で代替品となっており、SNSの影響で購買行動につながりやすくなっている」と分析している。
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