2025 年 4月 30日 (水)
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韓国・ロースクール制度の誤算…「弁護士4万人時代」供給過剰で生存競争激化

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「うちの娘が弁護士になりたいと言ったら止めます。今はやるべき職業じゃありません」

そう語るのは、韓国のある大手ローファームに勤める元部長判事の弁護士だ。この弁護士は「弁護士数の削減は、生存権の問題だ」と強調する。かつて文系最高の専門職と称された韓国の弁護士だが、法学専門大学院(ロースクール)制度導入以降、急増した弁護士数によって生活が脅かされる弁護士が増え、その地位は大きく変わってしまった。

弁護士過剰供給問題への対応として、ロースクールの定員や司法試験の合格者数を削減すべきだという声が法曹界から高まっている。

法曹界によると、法務省は今年の第14回司法試験合格者数を1744人と決定した。前年からわずか1人減った水準で、合格率は52.28%だった。大韓弁護士協会は合格者数を1200人以内に抑えるよう求めてきたが、結局、実質的な削減はほとんどなかった。

ロースクール制度が導入された2009年以降、弁護士数は急増し、昨年時点で登録弁護士数は3万6535人と、15年間で3倍以上に膨れ上がった。今後2~3年以内には弁護士数が4万人を超える見込みだ。

この急激な増加により、弁護士の受任競争はかつてないほど激化している。大韓弁護士協会のキム・ジョンウク会長は「弁護士1人あたりの月平均受任件数が2008年の約7件から2021年には約1件まで減少し、1件も受任できない月も少なくない」と危機感を示す。

特にロースクールを卒業したばかりの新人弁護士は厳しい状況に置かれている。大手ローファームは司法試験や学業成績を重視して採用するが、法曹市場の飽和により、中堅ローファームへの就職すら難しいのが現状だ。

10大ローファームの一つに所属する弁護士は「以前では考えられないほど優秀な成績の新人も目立つが、それでも就職先が見つからない」と語る。

ロースクール制度は「弁護士を増やして法的サービスのアクセスを向上させる」との趣旨で2009年に導入され、弁理士や司法書士など類似職種の統廃合も段階的に進めるとされていた。しかし、こうした約束は守られず、弁護士だけが過剰供給される結果となった。

ソウル市瑞草洞のある弁護士は「30万~50万ウォン(約3万3000~5万5000円)の低価格で複数の案件を受任し、訴状だけ提出して裁判に出席しない弁護士もいる」と証言している。依頼者が「弁護士が対応している」と安心している間に、裁判に敗訴してしまうケースもあるという。また、懲戒処分を受けた弁護士は自ら受任できないため、後輩弁護士の名義で案件を代理受任する事例もあると指摘されている。

専門家は、弁護士の供給過多による競争激化が今後さらに深刻化すると予想しており、供給の管理が必要だと指摘する。

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