
韓国の伝統酒マッコリ市場が、低迷を脱して反発の兆しを見せている。2024年度の各社の監査報告によれば、「ソウル長寿」と「砥平酒造」が売り上げ・利益ともに増加。「麹醇堂」もマッコリ事業に限れば堅調な動きを見せている。
砥平酒造の2024年売り上げは469億ウォンで前年比6.3%増、営業利益は37億ウォンで3.4%増となった。前年は売り上げが伸びた一方、利益が大きく減少していたが、新設の天安工場が殺菌マッコリの量産体制を確立したことで改善につながったとみられる。
ソウル長寿の売り上げは429億ウォンで前年比7.4%増、営業利益は39億ウォンで15.2%増。協同組合形式のソウル濁酒製造協会が展開する「ソウル長寿 生マッコリ」などがけん引役になっている。
一方、麹醇堂の売り上げ全体は前年比2.4%減の688億ウォン、営業赤字は23億ウォンとなった。ただし、マッコリ製品に限ると329億ウォンで前年比5.1%増となり、主力の「百歳酒」や不動産収益の落ち込みを一部補った。
マッコリ市場全体としては、2022年にピークを迎えた輸出量が一時減少したものの、2024年には再び回復傾向にある。輸出量は2022年の1万5396トンから2023年には1万3983トンに減少したが、2024年には1万4733トンに持ち直した。
K-フード人気の高まりも追い風となっており、日本・中国をはじめ、米国などでも韓国料理への関心が高まる中、マッコリへの注目も上昇。低アルコール志向の世界的な流れとも一致し、市場拡大の要因となっている。
業界関係者は「砥平やソウル長寿が殺菌マッコリの生産を強化している点が、大型マートでの流通や海外輸出で有利に働いている」とし、今後の成長に期待を寄せている。
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