
世界的な人気を背景に成長を続ける韓国のコンテンツ産業が、内実では深刻な課題を抱えていることが明らかになった。3月31日にソウルで開かれた韓国放送学会のセミナーで、専門家らが現状を指摘した。
韓国放送通信大学のイ・ソンミン教授は「放送・映像コンテンツは国家戦略産業と呼ばれるほど重要性が高まっているが、制作費は増える一方で編成は減少し、産業は危機に直面している」と述べた。視聴時間の減少や有料放送加入者の伸び悩みにより広告収入が減る中、グローバルOTT(動画配信サービス)の台頭で制作費が上昇し、収益構造が圧迫されているという。
こうした状況を受け、イ・ソンミン教授は規制緩和や税制優遇など政策支援の必要性を強調した。「現行制度ではコンテンツ投資へのインセンティブが不足し、コスト削減の対象とみなされている」とし、投資税額控除など制度基盤の整備を求めた。
また、国内有料放送市場で大きな影響力を持つIPTV事業者の収益配分にも問題があると指摘。2024年の基本チャンネル使用料の支払い率は、ケーブルテレビが72.6%だったのに対し、IPTVは28.7%にとどまったとし、「他のコンテンツ産業と比べても低水準だ」と述べた。
これに対し、別の専門家は「音楽や映画と単純に比較するのは難しい」と反論。IPTVはネットワークや機器などの固定費負担が大きく、事業構造の違いを考慮すべきだとした。
さらにイ・ソンミン教授は、放送コンテンツが通販番組の送出手数料収入や通信とのセット契約の維持にも寄与している点を踏まえ、収益配分の算定方法自体を見直す必要があると主張した。
一方、制度面では主管機関の不在も課題として挙げられた。現在、科学技術情報通信部と放送通信委員会が分担しているが、実効性に欠けるとの指摘が相次いだ。ソウル大学の教授は「政策を主導する明確な規制機関がなく、研究は進んでも実行に結びついていない」と批判した。
新たな統合機関の必要性についても議論されたが、単純な組織新設では解決しないとの見方もある。複数の省庁が関わる分野であるため、継続的に政策を推進できる常設組織の整備が必要だとの提言が出された。
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