
韓国で国民健康保険公団(健保公団)がたばこ製造会社を相手取って起こした損害賠償請求訴訟は、控訴審でも敗訴となった。しかし判決では、喫煙と肺がんなどの疾病との個別的因果関係に言及する判断が示され、従来の認識に変化をもたらしたとして、「国民の健康権と責任主体を公の場に引き上げた成果があった」との評価が出ている。
20日に公表された控訴審判決説明資料によると、ソウル高裁は15日、健保公団がKT&G、フィリップモリス・コリア、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)コリアを相手取った損害賠償請求訴訟で「原告(国民健康保険公団)の主張通り、喫煙と肺がんなどの発生との間に疫学的な相関関係が認められる。本件の対象者が30年以上かつ20パック年(pack-year)以上の喫煙歴を有し、肺がん(扁平上皮癌・小細胞癌)または喉頭がん(扁平上皮癌)の診断を受けた点などの事情を重点的に考慮すれば、個別の因果関係を判断するのが相当である」と判示した。
一方で裁判所は「被告らの不法行為が証明されておらず、損害賠償責任を認めることができない以上、対象者の喫煙と肺がんなどの発生との個別的因果関係について、これ以上判断することはしない」として、最終的には請求を棄却した。
1審判決では「疫学的相関関係が認められても、集団に属する個人が罹患した疾病の原因が特定されるわけではない」とし、個別的因果関係の認定に否定的だった。また、肺がんは飲酒、年齢、生活習慣、職業的・環境的要因など複数の要素が影響する非特異性疾患であるとして、喫煙との因果関係を厳格に判断すべきだとした。
これに対し、今回の控訴審は、対象者の長期・高強度の喫煙歴やがんの種類を踏まえ、「個別的因果関係を判断することが相当」と明示した点で、一定の前進と受け止められている。
韓国禁煙運動協議会のミョン・スンクォン会長(国立がんセンター教授)は「これまで個別的因果関係は否定されてきたが、今回は『判断することが相当』と認めた。極めて重要で、進展した判断だ」と評価した。
また、韓国YWCA連合会消費者運動局長のアン・ジョンヒ氏は「勝訴には至らなかったが、喫煙と肺がんの因果関係、企業と国家が国民の健康権に責任を負うべきだという議論を公の場に載せた意義は大きい」と述べた。
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