
ユーチューブのアルゴリズムを通じて拡散される正体不明の人工知能(AI)生成動画が、韓国のユーチューブ市場を急速に侵食している。いわゆる「AIスロップ」の氾濫は、単なるコンテンツ品質の低下にとどまらず、検索の信頼性低下、高齢層の誤認消費、コンテンツ生態系の攪乱といった「デジタル汚染」問題へと発展している。
「スロップ(slop)」とは本来、残飯や汚物を意味する言葉で、生成AIを用いて文脈や意図なく大量複製された低品質コンテンツを「AIスロップ」と呼ぶ。
米動画編集プラットフォームのカプウィング(Kapwing)が最近公表した報告書によると、AIスロップ系チャンネルの累計再生回数は世界全体で630億回を突破した。世界の上位ユーチューブチャンネル1万5000のうち278チャンネルがAIのみで制作された低品質コンテンツを投稿しており、これらが年間で得る広告収益は約1690億ウォンに上ると推計されている。
ユーチューブ・ショートの自動再生機能や推薦アルゴリズムが、利用者の意図とは無関係にAIスロップを拡散させており、「韓国のユーチューブがAIのごみで埋め尽くされている」との不満が高まっている。実際、新規アカウントに推薦されるショート動画のうち、5本に1本がAIスロップに分類されるほど浸透率は高い。
韓国は、世界で最もAIスロップを視聴している国でもある。カプウィングが昨年11月、国別に人気ユーチューブチャンネル上位100を分析した結果、韓国を拠点とするAIスロップチャンネルの累計再生回数は84億5000万回に達し、調査対象国の中で最多だった。これは2位のパキスタン(53億回)、3位の米国(34億回)を大きく上回る。
AIスロップの氾濫は、虚偽情報の拡散や高齢者の誤認消費を誘発するなど、社会的害悪を伴う「デジタル汚染」問題として深刻化している。情報判別能力が比較的低い高齢層や子どもが、刺激的な合成映像や虚偽内容を事実として受け取るケースが増えている。
情報系動画を装った偽のAIニュースが検索結果を占拠すれば、プラットフォーム全体の信頼性が損なわれかねない。丹念に制作された正規クリエイターの収益を、工場型AIチャンネルが奪うという生態系の歪みも問題視されている。
ディープフェイク検知など技術的対策は進んでいるものの、AIで作られたか否かだけでは低品質・有害コンテンツを見分けられないという限界も明らかだ。
専門家は、AIを使ったかどうかではなく、動画が持つ文脈や意図、社会的有害性を判断する「映像理解技術」が重要だと指摘する。あわせて、AIスロップで収益を上げるチャンネルに対するプラットフォーム側の強力な収益制裁と責任ある運営姿勢が不可欠だとの見方を示している。
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