
韓国プロ野球・斗山ベアーズの内野手として活躍し、韓国代表チームにも選ばれたオ・ジェウォン(呉載元)元選手(40)。現在は、薬物使用の罪で服役中だ。オ・ジェウォン元選手がnews1の書面インタビューに応じ、心境を語った。
オ・ジェウォン元選手は2007年に斗山に入団し、2022年まで在籍した。3度の韓国シリーズ優勝に貢献し、2014年には仁川アジア大会の金メダル、2015年プレミア12制覇を経験した。引退後は解説者を務めた。
だが、2024年3月、「一緒に薬物を使用した」という知人の通報で警察の捜査を受けた。2022年11月から1年間で計11回にわたりヒロポンを使用し、知人のアパートの廊下の消火器ボックスにヒロポン0.4gを保管していた。2023年1月から2024年3月までの間に、同僚選手らから、ゾルピデムを含有する睡眠導入剤「スティルノックス」2242錠を受け取り、他人の名義を使ってスチルノックス錠20錠を購入したこともある。
2024年12月に控訴審で懲役2年6カ月を言い渡され、判決が確定して現在服役中。ヒロポン0.2gを受け取った容疑で追加起訴され、懲役4か月・執行猶予2年の判決が確定した。睡眠薬の代理処方の罪で別途起訴され、1審で懲役1年6カ月を言い渡されて控訴し、現在2審が進められている。
オ・ジェウォン元選手との一問一答は次の通り。
――薬物の売人は薬物使用の事実を挙げて、何を要求してきたのか。
オ・ジェウォン氏 売人は、薬物を売買していた他の人物に、私が使用した注射器2本を2000万ウォンで売った。売人は私に電話をかけてきて「マスコミと検察に通報してお前の人生を終わらせてやる」と言った。恐ろしくなり、彼とソウル市江南区・狎鴎亭洞のあるカフェで会った。そこで売人は「この事実を知っている人がもう1人いる。その口を塞ぐには3億ウォン以上が必要だ」と言った。怖くなって、手元の現金に借金5000万ウォンを足して、計1億2000万ウォンを渡した。
お金を受け取った売人は「金が足りないから公正証書を書け。その代わり返済期限は長めにしてやる」と言い、公正証書を作成させた。売人は車のリースも要求してきた。断ることはできなかった。(だがすでにお金をすべて使い果たしていたため)リース代も滞納してしまった。売人はこの過程で「徐々に薬物を断てるようにしてやる」「投薬量を少しずつ減らしていけばやめられる」と言いながら、私を薬物に中毒させた。
――「脅迫被害」を証明できるのか。
オ・ジェウォン氏 検察の調べで何度も話をして、売人と三者対面をしたことがある。その過程で売人は「公正証書はオ・ジェウォンが野球アカデミー設立のために借りたお金だ」と証言した。調書も存在する。私はこれに対して、野球アカデミーは他の元選手の投資と、自分名義の住宅担保ローンで資金を準備して設立したと証言した。
――なぜ「脅迫被害」を明かそうと思ったのか。出所後の人生を考えてのことか。
オ・ジェウォン氏 出所後の人生のためでは決してない。私は薬物を使用し、周囲の人々に被害を与えた罪人だ。ただ、このような被害もあったということを知らせたかった。薬物の売人は、私の家族や両親にも金を要求する電話をかけたと聞いている。このようなこともあったという点を伝えたかっただけだ。
――薬物に手を出す前、精神的に不調だったとき、なぜきちんと治療を受けなかったのか。
オ・ジェウォン氏 パニック障害がひどくなった2019年、全身に力が入らない無気力症に襲われた。チームに迷惑をかけているという罪悪感も重なって、深刻なスランプに陥った。初めて自殺を考えた。でもこれからも選手生活を続けなければという思い、親を養わなければという不安から、医療機関に助けを求めようとは思わず、「隠して、自分だけが耐えて乗り越えればいい」という安易な考えをしていた。結局、球団の一部の人に知られて、エントリーから外れた時期もあった。どうにか苦しみを忘れようと睡眠薬に頼り、薬物使用後は脅迫に苦しめられ、頻繁にショック状態に陥るという悪循環に陥った。
――薬物の誘惑を断ち切れずにいる人、誘惑の近くにいる人に伝えたい言葉は。
オ・ジェウォン氏 誰にも理解されないという孤独と悲しみに、心から共感し、胸が痛む。でも薬物を使えば、最終的には自分を知っているすべての人が同じ苦しみに陥ることになる。薬物は選ばないでほしい。
犯罪であるという事実以前に、薬物は心を破壊する。再び立ち上がろうとする意志を、何もかも破壊してしまう。今この瞬間、「この苦しみのせいで仕方がない」と思っているその気持ちは、後に何千倍、何万倍もの苦痛になって戻ってくる。心の痛みは体の痛みと同じ病気だ。治療を受ければ必ず良くなる。良くなれば、また幸せになれる。
――出所後の計画は。
オ・ジェウォン氏 ない。断薬だけが第一であり、身も心も空にして、謙虚な人間として一生ボランティア活動をしながら生きていきたい。
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