2024 年 12月 21日 (土)
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韓国ネイバーとカカオ、相反する「AI戦略」…「大きく」vs「小さく」

(c)news1

韓国の2大ポータル企業であるネイバーとカカオが、第2四半期(4~6月)実績発表で、AI(人工知能)ファンデーションモデル戦略を発表した。ネイバーが、検索ポータルを中心に蓄積してきた莫大なデータと自社クラウドに合わせた大規模モデルに集中する一方、モバイルアプリを中心に事業を展開してきたカカオは、スマートフォンにも素早く適応できる軽量化モデルに力を入れる。

◇ネイバー=大規模モデル

ネイバーは、大規模モデルの高い性能を前面に押し出し、API(応用プログラムインターフェース)やプラグイン(Plug-in)を販売するB2B(企業間取引)サービスを手掛ける。カカオは軽くて経済的なモデルをベースに、カカオトーク機能を高度化する「B2C(企業と消費者間の取引)サービス」を公開する。

ネイバーが今月24日に公開するLLM(超巨大言語モデル)「ハイパークローバーX」は、大規模学習量を誇るAIモデルだ。パラメータ(媒介変数)は、米オープンAIのGPT-3.5(1750億個)より多い2040億個、韓国語学習量はGPT-3の6500倍以上だという。

このように巨大な規模を誇るハイパークローバーXは、オープンAIとマイクロソフト(MS)連合のGPTモデルと類似した商業化戦略を駆使する。オープンAIとMSは、GPT-3.5とGPT-4モデルのAPIとプラグインを、MSアジュール(Azure)クラウドなどで他の事業者に販売する方式で収益を上げる。高性能のLLMを必要とする企業は、こうした方式でGPTモデルを使用することになる。

ネイバーも、ネイバークラウドを通じてハイパークローバーXのAPIやプラグインの販売に集中する。チェ・スヨン代表は今月4日、2023年第2四半期(4~6月)実績発表のカンファレンスコールで「API基準の課金モデルや購読モデルも考えており、ネイバーのニューロクラウド技術を活用した業界との提携、企業との協業などで収益結果がより早く出てくる」との見通しを語っている。

チャットGPTでGPT-3.5、GPT-4モデル性能を見せた後、APIとプラグイン販売需要を高めたように、ネイバーも9月に生成型AI基盤の検索サービス「キュー(Cue:)」でハイパークローバーXの性能を一般に公開し、多くの顧客を引き付けるとみられる。

◇カカオ=軽量型モデル

カカオが第4四半期(10~12月)に披露するLLM「KoGPT(仮称)」は最大650億パラメータ規模の経済的なモデルになる。大規模・高性能のAIモデルも良いが、これでは過度に費用がかかるという問題点がある。オープンAIのAPI使用料は1000トークン(英単語約750字)にGPT-3.5モデルが0.002ドル、GPT-4モデルが0.03ドルだ。モデルが大きくなり、性能が良くなるほど使用料は高くなる。

これに対し、カカオは、費用を節減でき、モバイルサービスに適したサイズのモデルを準備している。

現在、内部テスト中のモデルはパラメータ規模▽60億個▽130億個▽250億個▽650億個の計4種類だ。メタ(旧フェイスブック)が、LLaMA2(ラマ2)モデルを▽70億個▽130億個▽700億個の大きさで出したのと似ている。LLMモデルを「ギットハブ(Git Hub)」や「ハギングフェイス(Hugging Face)」にオープンソースとして公開しようとする方針もメタに似ている。

カカオはこのモデルをカカオトークサービスに使い、カカオトークを使用するB2C顧客の使用を促す。APIやプラグインを直接販売するより、AIが適用されたサービスを提供し、これによって収益を創出するという戦略だ。例えば、中小企業がAIを活用して利用者にパーソナライズされたカカオトークメッセージを伝達したり、注文・予約など取引型サービスにAIを使ったりする方法が有力だ。

カカオのホン・ウンテク代表は3日、第2四半期の実績発表カンファレンスコールで「カカオトークにメッセージを要約するには、60億個の軽量型モデルが費用面で合理的だという計算がある。誰が先にLLMを構築するのかではなく、費用面でいかに合理的なモデルを作ってサービスに使うかというゲームになるだろう」と強調している。

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