
2Dや3Dで表現されたキャラクターがリアルタイムで配信をする“バーチャルコンテンツ”が急速に拡大している中、韓国IT大手ネイバーがバーチャル領域でのプレゼンス強化に乗り出している。
YouTubeの統計分析サイト「プレイボード」によると、2024年のスーパーチャット(投げ銭)収益上位5チャンネルのうち、5位がバーチャルYouTuber(Vtuber)であり、トップ20の中でも6名がVtuberだった。
韓国内でも、ネイバー傘下の配信プラットフォーム「CHZZK(チジク)」や、短尺動画サービス「SOOP」において、人気チャンネルにバーチャル配信者が多数登場するなど、その存在感が増している。
米市場調査会社マーケットウォッチは、世界のバーチャルYouTuber市場が2021年の約2兆8000億ウォンから、2030年には17兆ウォン規模へと約971%成長すると予測している。
ネイバーは、スタートアップ育成機関「D2SF」を通じて、バーチャルIPとコンテンツ制作を専門とする企業「SCON」に新たな出資を実施。SCONは30人規模のVtuberグループ「Meechu」などを保有しており、国内最大規模のバーチャルIPを展開している。
また、スコンはモーションキャプチャやライブストリーミング技術を用いた制作ソリューションを開発し、独自のスタジオで高品質なバーチャル映像を制作できるよう支援している。
ネイバーは、専門スタジオ「Motion Stage」も公開している。自社社屋「ネイバー1784」(京畿道城南市)に設置し、3月からはCHZZKの配信者に制作環境を開放している。
ここではHDRビデオ、高臨場感オーディオ、モーションキャプチャスーツによる3D撮影まで、映画制作レベルの技術を体験できる。
ショートフォーム動画サービス「Clip(クリップ)」では、バーチャルプロダクション技術の一環として「ビジョンステージ」を導入。物理的なセットが不要なため、低コストかつリアルな背景演出が可能となる。
今年1月には、宇宙空間のような背景映像とリアル小道具を組み合わせたシーンを試演。カメラで撮影すると、現実と見分けがつかない映像が完成したという。
放送通信大学メディア映像学科のキム・オクテ教授は「バーチャルコンテンツは、クリエイターに自由を与え、視聴者には新たな楽しみを提供する。今後も技術発展とともに業界が急成長するだろう」と分析している。
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