「20kgの袋まで並んで買っていきます。すぐ品切れになると思ってください」
韓国・済州(チェジュ)市内のあるスーパー。14日午後、塩の売り場の棚はがらんと空いていた。小包装された一部の塩と、樽に入った簡便製品のいくつか除いては、すべて品切れだった。
日本の福島原発処理水の放出が秒読みに入り、済州でも「塩買い占め現象」が始まっている。
ある食材売り場では毎朝、天日塩の「オープンラン」(購入のため開店前から駆けつける現象)まで繰り広げられる。午前9時に20kg20袋が売り場に並べられる前から消費者が並ばなければならないほどだ。買い求める消費者が増えて、最近は「1人1袋」と販売数量制限までかかった。
「20㎏の天日塩は普段は積み上げて売っていたが、今は売り場に出すやいなや、食堂の経営者だけでなく、一般市民まで並んで買っていく。並ぶのが遅れて買えない客は、残念そうに小包装塩を買っていく」
売り場の関係者はこう説明する。
日本が処理水の放出を前に2週間の試運転に突入するなど、放出が迫っているという報道が出た数日間に起きたことだ。
塩を求める消費者が大幅に増えたが、弱り目にたたり目で供給さえ円滑でなく、スーパー側は塩の供給が途切れるのではないかと気が気ではない。
あるスーパーの関係者は「全国的に天日塩を買い求める人が増え、商品が不足している。そのため発注した数量分が供給されていない。大企業の小包装の商品まで供給がスムーズではなく、最近品切れ状態が続いている。来週には新安(シナン)から塩を納品してもらうことにしたが、そちらの状況も良くないため商品はまともに入ってこないかも」と心配した。
済州は処理水の放出が始まれば、真っ先に影響を受けることになるだけに、住民の不安も高まっている。
住民のキムさん(56)は「放出された後に作られた塩を食べるのが嫌で、キムチ漬けの時に使う塩をあらかじめ買っておこうと思っている。スーパーで塩が品切れになっているというニュースが出回り、あちこち探し回ろうかと考えている」と話した。
チョさん(26)は「放出が迫っているという話が出ているが、塩だけでなく各種水産物も不安で食べられそうにない」と心配した。
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