
韓国サムスン電子が、低迷していた半導体部門の回復を鮮明にしつつある。高帯域幅メモリ(HBM)分野をはじめ、ファウンドリー(受託生産)やシステムLSIなど主要事業がそろって成長。2025年下半期には、過去最悪の業績から一転、好業績を記録した。業界では、イ・ジェヨン(李在鎔)会長の営業戦略や技術力回復が奏功したとの見方が強い。
サムスンの半導体部門(DS部門)は、2025年7~9月期に売上高33兆1000億ウォン、営業利益7兆ウォンを計上。メモリー事業は、四半期として過去最高の売り上げを達成した。第4四半期もこれを上回る実績が見込まれており、回復基調が一層強まっている。
業績回復を支えたのは、高性能DRAM「HBM3E」の性能改善と次世代製品「HBM4」の開発だ。HBM4は、主要顧客である米エヌビディアの評価試験において、速度・省電力など複数の項目で最高評価を獲得したという。サンプル出荷も始まり、2026年以降の量産供給に向けた調整が進む。
パッケージ技術の向上や製造工程の最適化も進んだ。同社は、次世代AI向け低電力メモリモジュール「SOCAMM2」や、12ナノプロセスを適用した高速グラフィックスDRAM「GDDR7」も投入。超低電力NAND技術が科学誌『ネイチャー』に掲載されるなど、技術力の高さも示した。
ファウンドリー分野では、業界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)に対抗し、2ナノメートル世代のGAA(ゲート・オール・アラウンド)構造を採用した製品の量産を開始。2025年には米テスラと過去最大規模となる約22兆ウォン相当の契約を締結した。また、アップルやエヌビディア、IBMなどとも連携を深めている。
一方、システムLSI部門は、新型アプリケーションプロセッサ「Exynos 2600」を発表。同製品は2ナノGAAプロセスを採用し、AI処理性能を大幅に向上させた。スマートフォン向け2億画素センサー「ISOCELL HP5」も投入し、カメラ市場でも競争力を高めている。
イ・ジェヨン会長は2025年12月、研究開発施設「NRD-K」を視察し、「技術競争力の回復が必要だ」と強調。社内では「本質的な競争力の再構築」を掲げ、危機意識を共有している。
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