2025 年 11月 11日 (火)
ホーム経済半導体韓国サムスン、李在鎔体制が本格始動へ…「ナンバー2」交代で“JY経営”色鮮明に

韓国サムスン、李在鎔体制が本格始動へ…「ナンバー2」交代で“JY経営”色鮮明に

韓国サムスン電子のイ・ジェヨン(李在鎔)会長(c)news1

韓国サムスン電子のイ・ジェヨン(李在鎔)会長が就任から3年を迎え、「JY経営」と呼ばれる独自のリーダーシップがようやく本格始動した。政界・財界との接触が活発化する一方で、グループの屋台骨となる組織体制も大きく再編し、これまでの「安定」路線から「刷新」へと大きく舵を切った。

サムスンは11月7日、経営支援タスクフォース(TF)を常設組織「事業支援室」として再編し、初代室長に側近中の側近とされるパク・ハッキュ社長を任命した。この組織は、かつてグループの中枢機能を担った未来戦略室の後継的性格を持つ。

また、「ナンバー2」とされてきたチョン・ヒョンホ副会長は経営の第一線から退き、イ・ジェヨン会長を補佐する役割に専念する。チョン・ヒョンホ副会長は国政介入事件以降、司法リスクで動けないイ・ジェヨン会長に代わり、グループ経営を担ってきた“危機管理人”だった。イ・ジェヨン会長が無罪判決を受け、司法的な足枷を外したことで、役割を終えたとされる。

これにより、事業支援室にはイ・ジェヨン会長の腹心であるパク・ハッキュ社長に加え、チェ・ユンホ社長が戦略チーム長として加わる体制が整った。3人はいずれも未来戦略室出身で、イ・ジェヨン会長が2022年に会長就任後の初人事でも登用した「JYの人脈」だ。

これまでの「影の経営」から脱し、直接的な経営手腕を強く打ち出す動きも目立つ。イ・ジェヨン会長は2025年夏に米国などへのセールス出張を敢行し、大手IT企業と連続会談を実施。10月には米エヌビディアのジェンスン・フアンCEO、現代自動車のチョン・ウィソン(鄭義宣)会長とともにソウル・三成駅近くのチキン店で「チメク(チキン+ビール)会合」を開き、異例の“ラブショット”を披露した。

この会合は、サムスンとエヌビディアのAI分野における連携を事実上公にする象徴的なイベントとなった。サムスンは、1年以上交渉を続けていた高帯域幅メモリ(HBM3E)の供給契約をエヌビディアと締結し、次世代HBM4の納品も視野に入っている。

また、サムスンはエヌビディアの最新型GPUを5万枚規模で自社半導体工場に導入し、技術協力の深化を進めている。

政界との接触も活発化している。イ・ジェヨン会長は10月、慶州で開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)に出席し、中国の習近平国家主席やラトニック米商務長官と面会した。また、韓米の通商・安全保障交渉の結果を踏まえた「ファクトシート」発表後には、イ・ジェミョン(李在明)大統領が大統領室で主催する4大財閥トップとの懇談会に出席する見通しだ。

さらに、11月14日には訪韓するメルセデス・ベンツのオラ・ケレニウス会長と面会し、半導体・バッテリー・ディスプレイを含む電装(自動車用電子機器)分野の協業について協議する。

財界関係者は「イ・ジェヨン会長の司法リスクが解消され、サムスンは不振から脱却し再飛躍の起点に立った。これまで言葉より行動でメッセージを示してきたイ・ジェヨン会長だけに、今後はさらに果敢な組織改革や新規事業への投資で“JY経営”の青写真を描いていくだろう」と見通した。

(c)news1

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