2025 年 4月 25日 (金)
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韓国コンビニが決済革命…顔認証&CBDC導入で未来型ショッピングへ

GS25「ドア・トゥ・ソンス」店舗におけるトスのフェイスペイ決済システム=GSリテール(c)KOREA WAVE

韓国内のコンビニ各社が、フェイスペイ(顔認証決済)や中央銀行発行のデジタル通貨(CBDC)など、新たな決済システムを相次いで導入している。革新的な決済サービスによって20~30代の客を取り込み、消費者の利便性を高めることが期待されている一方で、一部からはセキュリティ面を懸念する声も上がっている。

◇顔認証やデジタル通貨による簡単決済…テストベッド化するコンビニ

モバイル金融サービス大手「Toss(トス)」を運営する「Viva Republica」は、国内のコンビニ3社であるGS25、CU、セブンイレブンと提携し、「フェイスペイ」や「QR/バーコード決済」などの新しい簡便決済システムを導入することにした。

最も早く導入したのはGS25だ。GS25は今月7日まで、ソウル・聖水洞(ソンスドン)にある「Door to Seongsu(ドア・トゥ・ソンス)」店舗で、Tossと協力してフェイスペイのポップアップストアを運営した。客に新たな決済サービスを体験してもらう機会を設けることが、このポップアップストアの目的だった。

GSリテールによると、フェイスペイのポップアップストアには1日平均で700~800人が訪れ、大きな人気を集めた。

今月からは、GS25のワールドカップ競技場店、江南の直営店など全国25店舗でフェイスペイの試験運用を開始した。CUも江南区の10店舗余りで試験的にフェイスペイを導入しており、上半期中にこれを約30店舗に拡大する。セブンイレブンは5月中にテストを実施し、6月から段階的に導入する。

CBDC(中央銀行デジタル通貨)の実取引テストもコンビニで進められている。

セブンイレブンは昨年9月に締結した韓国銀行とのMOUを通じて、CBDCの実取引実験「漢江プロジェクト」のテスト店舗として協力している。

CBDCは韓国銀行が発行する新しい形の通貨で、ビットコインなどの暗号資産とは異なり、現金と同等の価値を持つ。特定のサービスに登録することなく、銀行口座とスマートフォンだけで利用できるという利点がある。

セブンイレブンでは今月1日から、無人店舗を除く全店舗でCBDC決済サービスを提供している。客が7つの銀行(国民・新韓・ウリィ・ハナ・企業・農協・釜山)の電子財布で「QRを表示」を選ぶとQRコードが生成され、商品購入時にPOSでスキャンすることで決済が完了する仕組みだ。

革新的な決済サービスを導入したコンビニ各社は、サービスの定着を図るため、さまざまな割引イベントを展開し、客の体験を増やすことに注力している。

GS25は「ドア・トゥ・ソンス」のフェイスペイポップアップで、該当決済手段を利用して商品を購入した場合、1万ウォンの割引クーポンを提供した。セブンイレブンでは、CBDCでの決済時にすべての商品(酒類、たばこ、サービス・イベント商品を除く)を10%割引している。

ソウル・聖水洞のGS25「ドア・トゥ・ソンス」店舗(c)KOREA WAVE

◇コンビニ選択は「消費者との接点拡大のため」

革新的な決済サービスがコンビニを選んだ理由は、消費者との接点を広げるためとみられる。コンビニは1日に多くの決済をこなし、数多くの加盟店を抱えていることから、決済サービス事業者にとってテストに適した場であるという。

コンビニ業界の関係者は「消費者も、自分がよく使う決済手段のあるコンビニを好むため、各社とも決済手段の多様化に積極的に取り組んでいる。フェイスペイやQR決済などで決済手続きが簡単になれば、客離れを防ぐ要因にもなる」とみる。

また別の業界関係者は「新しい決済サービスを主に利用する年齢層が、コンビニのターゲットである20~30代の世代だ。ロックイン効果(継続利用を促す仕組み)を狙ったマーケティング手段としても活用している」と指摘する。

ただ、一部では新しい決済方式に対するセキュリティ面の懸念もある。CBDCは通信ネットワークを利用するため、ハッキング犯罪などにさらされる恐れがあり、フェイスペイに関しては写真や偽の顔で決済が可能なのではないかという指摘もある。フェイスペイに関するセキュリティ管理はすべてトスが担当している。

トスは導入前に▽個人情報保護委員会による事前の適正性検討▽セキュリティ関連の投資拡大――など、高度なセキュリティ体制を整えており、万が一の事故に備えた「安心補償制度」も運用していると強調した。

事前適正性検討とは、新技術や新サービスを導入しようとする企業が、個人情報保護委員会と協力して個人情報保護の原則を合理的に適用する方法を模索する制度だ。トスはこれを通じて、フェイスペイ運用における▽顔識別情報▽固有識別情報――などを、個人情報保護法に基づいて安全に取り扱う方法を委員会と検討したという。

トスの情報保護分野への投資額も年々増加しており、2020年には39億ウォンだった投資額が▽2021年は61億ウォン▽2022年は90億ウォン▽2023年は97億ウォン▽2024年には126億ウォン――へと拡大した。トスの関係者は「万が一事故が発生した場合でも、被害金額を全額補償する『安心補償制度』を運用するなど、事後対策も整備している」と述べた。

(c)KOREA WAVE

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