
韓国・カカオモビリティのタクシー事業に、相次いで逆風が吹いている。流し営業(路上で乗客を拾う営業)による収益に対してプラットフォーム手数料を課すことを禁じる法案が成立目前となったのに続き、3月には競合他社の配車要請(コール)を遮断した疑惑をめぐる裁判も控えている。
カカオモビリティは今年、フィジカルAI(Physical AI)を軸としたモビリティ新事業に本格的に注力する方針だ。これまで問題視されてきた「配車操作(コールの集中配分)」や「売上高の水増し」疑惑については、検察からいずれも嫌疑なしの判断を受け、司法リスクは一部解消された。ただし、残されたハードルをどう乗り越えるかによって、新事業の将来が左右されるとの見方が強い。
◆ 流し営業手数料禁止法が可決…来月には「コール遮断」裁判
韓国国会によると、タクシーの流し営業に対する手数料徴収を禁止する内容を盛り込んだ旅客自動車運送事業法改正案が、1月29日に本会議を通過した。
改正案は、プラットフォーム加盟事業者が加盟タクシーの流し営業収益から手数料を徴収することを禁じ、違反した場合は是正命令を出し、従わなければ過料を科すとしている。法律は公布後3カ月の猶予期間を経て施行される見通しで、早ければ5月中の施行が予想される。
現在、流し営業の収益にもプラットフォーム手数料を一律で課しているカカオモビリティは、主要な規制対象になるとみられる。実際、「カカオTブルー」タクシー加盟本部であるKMソリューションは、流し営業手数料の徴収を加盟事業法違反と判断し課徴金を科した公正取引委員会を相手に行政訴訟を起こしている。
さらに3月26日には、いわゆる「コール遮断」疑惑に関する裁判が始まる。検察は、カカオモビリティが市場支配力を利用し、競合加盟業者に営業秘密や手数料の提供を求め、応じない場合にはコールを遮断したとして、同社法人およびリュ・グンソン代表理事ら経営陣3人を在宅起訴している。
◆ サービス品質低下への懸念も…「乗車拒否や配車遅延が増える」
相次ぐ立法・司法リスクを受け、プラットフォーム業界からは、タクシー市場が歪み、サービス品質が低下する可能性を懸念する声も出ている。
改正案の通り、流し営業収益から手数料を取れなくなれば、ドライバーによる「コールの選り好み」が横行する可能性が高い。これは、乗車拒否のないタクシーサービスを掲げてきた加盟事業の趣旨を損ない、結果的に利用者の不便につながる恐れがある。
また「コール遮断」についても、重複配車による遅延を減らすための措置だったという見方がある。実際、カカオモビリティは加盟していない外部事業者にも「カカオT」プラットフォームを開放しており、加盟・非加盟ドライバーのコールが重複してキャンセルされると、利用者の利便性が損なわれかねない。
同社は、いずれもサービス品質を守るための正当な措置であり、適法な協議を経たものだとの立場を示している。
カカオモビリティ関係者は「改正案に沿った実効性のある施行方案を用意する」としつつ、「法案審査の過程でもコール選別による利用者不便が指摘された。副作用を最小化する補完策が必要だ」と述べた。 またコール遮断事件についても、「サービス品質低下や、非加盟事業者のフリーライド(ただ乗り)問題を防ぐためのもので、競争制限の意図や違法行為はない」と説明している。
◆ 「配車操作・売り上げ水増し」嫌疑なし…新事業に弾みはつくか
一方で、カカオモビリティの成長を妨げてきた一部のリスクは解消された。これを機に、今年重点を置くフィジカルAIなどの新事業が加速するかが注目される。
検察は1月26日、公正取引委員会が告発した「コール集中配分(配車操作)」事件と、金融委員会が通報した「売り上げ水増し」事件のいずれも嫌疑なしで終結したと発表した。 内容は、非加盟ドライバーより加盟ドライバーに有利にコールを配分した点、また売り上げ認識に総額法を採用して売上高を水増ししたとする疑惑だった。
カカオモビリティは、長年続いた足かせの一部を外し、人材登用や新事業部門の新設を通じて次世代モビリティ事業に挑戦している。最近では「フィジカルAI」部門を新設し、米グーグル傘下の自動運転企業ウェイモ(Waymo)出身のキム・ジンギュ高麗大学教授を部門長として迎え入れた。
また2024年には、ソウル市の自動運転車運送プラットフォーム民間事業者に選定され、ソウル市が運営する自動運転の対市民サービスを「カカオT」アプリで一元的に提供している。
モビリティ業界関係者は「今年はグローバルなモビリティ覇権競争の中で、国内の技術主権を守る重要な分岐点だ。カカオモビリティが司法リスクを解消してこそ、イノベーション企業としてのアイデンティティを強化できるだろう」と展望している。
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