2025 年 3月 4日 (火)
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韓国アシアナ航空の貨物事業売却、従業員の待遇問題が未解決のまま進行

アシアナ航空(c)news1

韓国アシアナ航空がエアインチョン(Air Incheon)への貨物事業売却を進めるなか、移籍する従業員の待遇継承が依然として未解決の課題として残っている。労働組合は「待遇が引き継がれない場合、売却に反対する」との立場を示しており、法的対応も視野に入れている。

アシアナ航空は2月27日、貨物事業部の売却に伴い、エアインチョンに移籍する従業員788人を確定し、個別に通知した。対象者には貨物本部の従業員、貨物機の操縦士、整備士らが含まれる。

しかし、多くの従業員が転籍に反対し、法的措置を検討している。アシアナ航空の操縦士労組関係者は「エアインチョンにおける給与や福利厚生などの待遇が保証されていない」「労働者の同意なしに転籍を強制すべきではない」などと主張している。

一方で、アシアナ航空側とは待遇面について引き続き協議を進めているとした。

労使間の最大の対立点は「同等の待遇」の定義だ。アシアナ航空とエアインチョンの双方は「現行の基本給は維持する」としているが、労組側は「大韓航空と同等の水準」を求めている。アシアナ航空が大韓航空との統合を完了すれば、2年後には大韓航空と同じ給与水準となる可能性があるためだ。

また、転籍に際し「労働者の同意が必要かどうか」についても意見が対立している。民法第657条には「使用者は労働者の同意のないまま第三者に労働権利を譲渡できない」と規定されており、労組側は今回の通知が違法であると主張している。

これに対し、アシアナ航空は2013年の大法院(最高裁)の判例を根拠に「事業売却時に労働者と協議できていれば、個別の同意がなくても転籍は可能」との立場を取っている。過去2年間にわたり従業員向けの説明会を開催してきたため、問題はないと主張している。

今回の貨物事業売却は、大韓航空がアシアナ航空を買収する際、欧州委員会(EC)や日本の公正取引委員会から企業結合承認を得るために求められた条件の一環だ。大韓航空は2024年8月、エアインチョンと貨物事業売却の基本合意書を締結し、同12月に企業結合承認を取得した。

(c)news1

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