「匿名のチャットアプリを見ると『会って一緒に麻薬をしよう』という書き込みがよくアップされる。会おうとメッセージを送ると、麻薬を打ってから運転してくる人もいます。麻薬に関わる人たちが街を闊歩しているのです」
麻薬摘発に関わるあるユーチューブチャンネルの運営者はこう話した。
この運営者は、匿名チャットアプリで麻薬類事犯と疑われる人物と「会おう」と約束した後、警察に通報して検挙につなげるプロセスをコンテンツにするユーチューバーだ。昨年10月以降、現在まで、このやり方で300人を超える麻薬事犯を警察に引き渡した。
「麻薬の情報提供が1日に1~2件ずつ着実に入ってくる。1週間に15人程度、1カ月で言えば60人程度、麻薬事犯が捕まる。韓国は麻薬清浄国だと言えるだろうか」
運営者はこう皮肉った。
麻薬類犯罪は警察が内偵捜査をするのに制約があり、証拠をつかむことも難しい。
専門家らは麻薬犯罪が手の施しようがない状況に陥る前に、体系的な統制システムを構築すべきだと助言する。
◇犯罪を断ち切る制度的補完
最高検察庁によると、昨年の麻薬事犯は計1万8395人で、2021年の1万6153人より13.9%増えた。このうち麻薬類流通事犯は4890人で前年4045人より20.9%増え、密輸事犯は1392人で前年807人より72.5%増加した。
20代の麻薬事犯が5804人(31.6%)、30代が4703人(25.6%)で、20~30代が全体麻薬事犯の半分以上を占めた。注目すべき点は、10代の麻薬事犯だ。15~19歳の麻薬事犯が440人で2.4%、15歳未満の麻薬事犯も41人にもなる。
麻薬中毒治癒リハビリセンター長のイム・サンヒョン氏は次のような事実を明らかにした。
「施設を始めた時は30~40代が多かったが、この1~2年の間に若い世代がぐんと増えた。若年層は大多数が、両親に嘘をついて小遣いをもらったり、アルバイトをしたりして麻薬購入の資金を調達する。それができない時、犯罪に走るケースもある」
仁川(インチョン)ダルク病院麻薬中毒相談室長のチェ・ジンムク氏は「今からでも麻薬犯罪を断ち切る制度的な補完が必要だ」と強調する。チェ室長によると、韓国の麻薬中毒治癒リハビリセンターは4カ所で、総収容人数が30人に止まる。10代の場合、入所できるセンターが事実上皆無だ。
チェ・ジンムク氏は「未成年者は成人とともに管理するわけにはいかず、センター入所自体が不可能だ。需要と供給が合わないため、悪循環が発生し続けている」と話す。
漢城大学麻薬アルコール学科のユン・ホンヒ教授は「国家機関や地方自治体、捜査機関が協力して麻薬関連犯罪を早期に遮断すべきだ。皆が合同で麻薬拡散を防ぐべき時が来た」と強調している。
(つづく)
(c)MONEYTODAY