
韓国の高齢者所得に占める老齢・遺族給付の割合が欧州諸国と比べて大幅に低く、高齢者貧困の改善効果も限定的であることが韓国保健社会研究院の報告書で明らかになった。
報告書によると、2019年時点で韓国の老齢・遺族関連の公的社会支出はGDP(国内総生産)の3.5%で、OECD(経済協力開発機構)加盟国平均8.2%を大きく下回った。イタリア(16.0%)、ドイツ(10.4%)、イギリス(5.7%)など欧州主要国と比べると、かなりの低水準といえる。
韓国では高齢者の93.4%が老齢・遺族給付を受給しているものの、総所得の50%以上を給付で賄う高齢者は14.9%にとどまる。欧州8カ国ではこの割合が80%を超える国が6カ国あり、イタリアとギリシャでも70%前後だった。
その結果、2021年の韓国の高齢者貧困率(中央値所得の50%基準)は35.7%に達し、OECD加盟国の中で最悪レベルとなっている。ドイツとイギリスが11.8%、その他の欧州6カ国が一桁台であるのに対し、韓国の高齢者の経済的困窮は深刻な状況だ。
報告書を執筆したヨ・ユジン研究員は「国民年金の所得代替率や基礎年金の最低保障水準を引き上げ、年金制度の再分配機能を強化する必要がある」と指摘。さらに「年金の拠出期間を延ばすため、保険料支援の拡大や拠出年齢の引き上げなど多角的な政策が求められる」と強調した。
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