
今年後半の韓米連合演習「乙支フリーダムシールド(UFS)」で最も注目を集めたのは、野外機動訓練(FTX)の運用方式の変更だった。
今年のUFSでは、当初計画されたFTX約40件のうち半数の20件余りを9月に延期して実施する。軍は「猛暑による訓練環境の確保や、年間を通じた均衡ある連合防衛態勢維持など、さまざまな要素を検討した結果」と説明する。表面的には一理あるように聞こえる。
しかし、UFS発表前の経緯を踏まえると、「北朝鮮への配慮ではないか」という疑念を拭い難い。7月28日、北朝鮮のキム・ヨジョン(金与正)朝鮮労働党副部長が韓米軍事演習を批判する談話を発表。同日、統一相が「韓米連合訓練の調整を大統領に建議する」との考えを明らかにし、波紋を呼んだ。
軍は投入する装備や兵力規模は昨年と同じで、FTX日程の変更は「調整」に当たらないと主張したが、このような形態の訓練は前例がない。
政権によって連合演習の規模やトーンが変わるのは珍しいことではない。ムン・ジェイン(文在寅)政権時代の2018年、南北・米朝首脳会談が相次いだ後は「北朝鮮の非核化を支える外交努力」という名目で各種連合訓練が縮小・中止され、「乙支フリーダムガーディアン(UFG)」は廃止された。
2022年発足のユン・ソンニョル(尹錫悦)政権は、韓米連合訓練の正常化・復元に乗り出し、UFGはUFSとして復活。北朝鮮の挑発に備えた機動訓練の強度も引き上げられ、FTX回数は2022年13件→2023年30件→2024年48件と増加した。
連合演習は、軍の核心的作戦能力を検証し、韓米同盟の現状を示す場だ。外交的配慮はあり得ても、安全保障上の実効性が損なわれてはならない。大統領が変わるたびに揺れるようでは、一貫した準備態勢をどう確保できるのか。
「安全保障に与野党はない」という言葉とは裏腹に、現実は政治の影響を受けてきた。今、軍に必要なのは「強硬策」でも「融和策」でもなく、一貫性のある訓練基準と防衛態勢である。連合演習は、政権のメッセージを発信する道具ではなく、国防と同盟の備えそのものでなければならない。【news1 ホ・コウン記者】
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