韓国の街で一面に広がるハングル――こんな光景を期待していたある米国人。ハングルの日(今月9日)を機に、ソウルの街を見渡してみた。だがそこには外国語の看板が溢れ、ハングルの趣きは感じられなかった。
ソウル市麻浦区の延南洞(ヨンナムドン)、ヨンリダンギル周辺(地下鉄淑大入口駅~南営駅~三角地駅~新龍山駅一帯)には、英語や他の外国語のみが表記された看板が大多数を占めていた。
延南洞のカフェや飲食店の看板には、ハングルがほとんど見当たらなかった。英語でメニューが書かれ、営業時間などの案内も英語のみの店舗が多かった。記者が調査した12店舗すべてが英語や中国語、タイ語、ベトナム語などで表示されており、ハングルが併記されている看板は極めて少なかった。
外国人観光客でさえ、この状況に戸惑いを隠せなかった。
ある米国人は「韓国語を学ぶ外国人として、ハングルで書かれた看板やメニューが多ければ学びやすい。練習にもなる」と語った。
韓国に興味を持って訪れる外国人にとって、ハングルが少ないことは期待外れになる可能性がある。
一方、韓国国内でもこの現象に違和感を抱く声が上がっている。
ソウル市内の延南洞を訪れた女性(35歳)は「韓国の店なのにメニューが全く理解できなかった。すべて外国語で書かれていたため、店員に聞いて初めてそれがタイ語だとわかった」と語った。
また、別の市民(67歳)は「この地域には外国語の看板が多すぎて、韓国にいる気がしない。韓国らしさがどんどん失われているように感じる」と嘆いた。
ソウル市の統計によると、昨年、市内に設置された看板7795件のうち、外国語のみが書かれた看板は21.2%にあたる1651件に上り、ハングルが併記された看板は18.6%にとどまった。
現行の屋外広告物法施行令では、看板の文字にはハングルを使用し、特別な理由がない限り外国語と併記するよう義務付けられている。
しかし、外国企業のブランドや面積5㎡以下の看板は許可なしで設置できるため、結果として外国語表記の看板が街に溢れる状況が生まれている。
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