
韓国で理数系の専門人材を育成する「英才高校」の競争率が、2026年度入試で過去5年で最も低い水準となった。背景には、医学部への進学希望者が急増し、英才高校を敬遠する傾向が強まったことがあるとみられる。
進学塾大手「鍾路学院」によると、韓国科学英才学校(KAIST直系)を除く全国7校の英才高校の2026年度入試の志願者数は3827人、平均競争率は5.71対1だった。これは、2022年度以降、漸減傾向にある数字の中でも最低の水準だ。
今年の中学3年生の人口が前年より2万5000人以上(約5.9%)増加しているにもかかわらず、英才高校への出願者数は前年比4%減(158人減)となった。
過去の出願状況を見ると▽2022年度:4029人(6.02倍)▽2023年度:4152人(6.21倍)▽2024年度:3918人(5.86倍)▽2025年度:3985人(5.96倍)――と推移しており、2022年度以前の「試験日程の重複が可能だった時代」には14~15倍に迫る年もあった。
2026年度の学校別競争率では、最も高かったのは仁川科学芸術英才学校(6.95倍)、最も低かったのは大田科学高校(5.17倍)だった。
専門家は、英才高校が入学時点で医・薬系進学を制限しており、近年の「メディカル偏重」傾向と相反しているため、競争率が低下していると分析している。
鍾路学院のイム・ソンホ代表は「英才高校出身で医学部に進学した学生の多くは、卒業後に理工系の特別大学(KAIST、POSTECHなど)に進学した後、再び修学能力試験(大学修学能力試験)を受けて医学部に再挑戦するルートを選んでいる。今後も医学部人気が続けば、優秀層の確保が難しくなり、英才高校の存在意義が問われる可能性もある」と警鐘を鳴らしている。
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