
韓国の大学や研究機関における機密管理の甘さが、国家戦略技術の海外流出を招いている。技術流出による国益損失はもちろん、外交的な波紋も広がっている。
国家情報院によると、2023~2024年の2年間に摘発された国家産業技術の流出件数は46件。その中には半導体、ディスプレイ、造船、自動車など国家中核産業を支える「国家核心技術」も含まれていた。
技術流出件数はここ10年間、毎年20件以上で推移しており、年平均22件の国家技術が国外へ漏れていることになる。
中でも代表的な事件としては、2020年に韓国科学技術院(KAIST)の教授が中国の「千人計画」に協力し、自律走行技術に関する国家研究成果70件以上を中国に流出した案件が挙げられる。この教授は2023年に産業技術保護法違反で懲役2年の判決が確定した。
また、韓国型ロケット「ヌリ号(KSLV-Ⅱ)」に関連する技術の流出疑惑でも捜査が進行中で、3月には韓国航空宇宙研究院(KARI)関係者への調査が始まった。ヌリ号には2兆ウォン規模の国家予算が投入されている。
サムスン電子の3ナノ半導体製造技術の流出など、民間企業における流出事例も後を絶たない。
さらに問題を深刻化させたのが、米エネルギー省(DOE)による韓国の「敏感国家」指定だ。今年4月15日、DOEの措置が発効し、原子力・AI・核分野における韓米間の技術協力に制約が生じる可能性がある。
この措置の背景として、米国の研究所から原子炉設計用ソフトウェアを韓国に持ち出そうとした外部業者が摘発されたという報告がある。
ある外交・安全保障専門家は「米中両国は次世代基幹産業の主導権を巡って国策研究機関のセキュリティを厳格化している。韓国も国内技術の流出防止に加え、海外研究者による流出が外交問題に発展しうることを研究者自身が理解できるような制度整備が必要だ」と強調した。
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