2025 年 11月 6日 (木)
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韓国の原子力潜水艦計画、米国の政治的承認を得て本格始動へ…「ディテールの戦い」焦点に

10月29日、韓米首脳会談を前に握手するトランプ米大統領とイ・ジェミョン(李在明)韓国大統領=ホワイトハウス公式写真(c)news1

韓国のイ・ジェミョン(李在明)大統領とトランプ米大統領は、韓国が原子力潜水艦を建造する計画に対し、政治的に合意した。トランプ大統領が「韓国が原子力潜水艦を建造することを承認した」と10月30日に発言したことを受け、韓国軍が約30年にわたり求めてきた事業がようやく本格化する兆しを見せている。

ただ、実際の建造と戦力化までには、米国の技術支援の範囲、造船所の能力強化、韓米の分担範囲など、詳細で実務的な課題が山積しており、「悪魔は細部に宿る」との指摘もある。

計画によれば、初号艦の完成までに約10年、排水量は5000トン以上、燃料には20%以下の低濃縮ウランを使用し、少なくとも4隻以上を建造する見通しだ。アン・ギュベク(安圭伯)国防相は「事業はまだ初期段階であり、どこでどのように建造するか、どの企業が担うのかについては、これからタスクフォースを立ち上げて議論する段階だ」と述べた。

事業を左右する鍵は、韓米原子力協定の改定や例外適用、米フィラデルフィアにある韓国の大手造船企業ハンファオーシャン傘下のフィリー造船所の設備・人材強化、米国からの技術支援範囲の明確化などにある。

現行の韓米原子力協定では軍事目的の濃縮や再処理が禁じられており、潜水艦用核燃料の安定供給のためには、協定の改定または新協定の締結が不可欠だ。ただ、これは米政府との交渉だけでなく、米議会の承認という法的・行政的手続きを必要とする。

トランプ大統領の「承認」発言は政治的な枠組みを与えるものであるが、実際の合意に向けた実務交渉はこれからであり、韓国政府はまず、燃料供給と監視体制の具体化を米政府と調整していく。

トランプ大統領がフィリー造船所を建造地として名指ししたことについても議論が続く。韓国は当初、自国内での独自建造を前提とし、核燃料のみを米国から調達する方針だったが、トランプ氏はこの事業を「米国造船業再興(MASGA)」プロジェクトの一環と見なしている可能性がある。

ハンファオーシャンが買収したフィリー造船所は、商船向けインフラが中心で、潜水艦建造には新たな投資とインフラ整備が求められる。さらに、熟練工や技術者の確保も課題だ。韓国政府は、潜水艦の船体構造はフィリー造船所で建造し、小型原子炉などの原子力関連部は最も安全な軍施設で進めるという構想を立てているという。

また、米国の技術支援の範囲も重要だ。米国はこれまで英豪との協力においても、核心技術の直接移転には慎重であり、韓国に対しても設計や評価への助言など「折衷型支援」となる可能性が高い。韓国政府は、自主建造を原則としつつ、米国との協力を最適化するパッケージを模索している。

原子力潜水艦の建造は10年以上を要する国家的事業であるため、原子力規制、外交、建造、運用、整備、燃料交換・廃棄まで、全ライフサイクルを一括管理する体制の構築が必要だ。軍は事業団を編成して調査を進めているが、政府全体での組織化はまだ具体化していない。

10月30日の国会国政監査では、首相室直轄の国家プロジェクトとして推進すべきだとの意見も出され、アン・ギュベク氏も「関係省庁との有機的な協力体制を構築して備える」と答えた。予算や人材の現実的な配分も課題であり、初の試みとなるだけに、設備・安全・運用コストなどを含めた全体事業費は当初見込みより増加する可能性が高い。

(c)news1

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