2025 年 11月 21日 (金)
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韓国の先端農業、中国製の攻勢に苦しむ…「未来の食料安全保障が脅かされる」

ドローン画像=ClipartKoreaのAI生成(c)KOREA WAVE

未来の食料安全保障を守るための中核産業と評価されている韓国国内の先端農業産業が、中国製品の攻勢により自立が危うい状況にある。特に低価格戦略によって、最近では政府の支援事業からさえ国内企業を押し出す様子を見せており、懸念が高まっている。

韓国メガ・ニュース(MEGA News)のペク・ポンサム記者の取材によると、代表的な事例が農業用ドローン市場。農林畜産食品省の資料によると、2025年に政府が購入支援をした農業用ドローンのうち、約90%が中国製であることが明らかになった。2025年1〜8月基準で、政府による農業用ドローン融資支援額は43億2900万ウォンに達し、これは全体の融資額47億7100万ウォンの90.7%に相当する。2025年に融資支援を通じて購入された中国製ドローンは257台であるのに対し、国産ドローンはわずか34台にとどまった。過去5年間(2021~2025年8月)の記録でも約80%が中国製だった。

専門家は、韓国のドローン産業は中国に比べ数年遅れている水準であり、国家的な育成が必要だと口をそろえる。米国の場合、2025年6月に安全保障上の脅威となるドローンに対する防御を強化し、米国内のドローン製造を育成する行政命令を発表した。農業、防衛産業など国家安全保障と直結する各種産業においてドローンが中核的な役割を担っているからである。

自動運転分野でも状況は同様である。全羅北道が毎年、道内の農家を対象に実施している「コメ競争力向上事業」を巡って議論が起きた。2026年度の事業指針の中で、トラクターなどの農機に取り付けることができる自動運転操舵装置に対する支援条件が変更されたのだ。2024年までは、韓国農機工業協同組合が発刊する「農機カタログ」に登録された供給者のみが参加可能だったが、2025年には「農家の好みによって性能が優れており、アフターサービスが可能な業者」と基準が変更された。

ClipartKorea(c)KOREA WAVE

韓国農機工業協同組合は、特定の条件を満たす供給者の製品のみを農機カタログに掲載する。特に、GPSを通じてユーザーの位置情報を活用する自動運転装置の供給者は、同組合に加盟している組合員であると同時に、「位置情報の保護および利用等に関する法律」に基づいて放送通信メディア委員会から「位置基盤サービス事業者としての届け出および個人位置情報事業者としての登録許可」を受けなければならない。

同法第5条によると、「個人の位置情報を収集・活用しようとする者は、業者の所在地が国内に位置していなければならず、ユーザーの個人情報を国内サーバーに保存するか、Amazon Web Services(AWS)などセキュリティリスクを最小限に抑えたクラウドサーバーを利用しなければならない」とされている。

農機カタログへの登録義務を撤廃した2025年には、中国製の自動運転モジュール輸入業者が自由に恩恵を受けられるようになる。

業界関係者は「中国製品はデータを自国のサーバーに保管するため、組合への加入や放送通信委への登録が困難なうえ、農民の個人情報や位置情報の流出疑惑が常につきまとう」としながらも、「しかし優れたコストパフォーマンスのため、農民の立場からは断りにくい選択肢だ」と述べた。

専門家は、自動運転、データソリューション、ロボットなど未来の農業技術分野において、ドローンと同様の前例を残してはならないと警告する。

全州大学産業工学科のイ・チュンホ教授は「中国がドローンを国家戦略産業として全力で育成した結果、現在では米国でさえ技術格差の克服に苦戦している」と述べ、「先端農業分野で韓国が自立性を守るためには、今からでも自国企業の保護と育成に乗り出さなければならない」と語った。

(c)KOREA WAVE

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